こんにちは、メンタルトレーナーの葉月です。
大事な試合を目の前にした子供達は「試合で十分な力を発揮したい」「試合に勝ちたい」「目標を達成したい」と考えるだろうし、子供達を指導するコーチや応援する保護者の方たちも「何とか頑張ってもらいたい」「結果を残してもらいたい」と心から願っていると思います。
しかしその裏には「失敗してしまったら…」「結果を残せなかったら…」「いつも通りにできなかったら…」という「不安」や「恐れ」というマイナスな感情が存在していることも否定できません。
「不安」や「恐れ」は子供達の行動を鈍くさせ、それは集中力やパフォーマンスにも大きな影響を与えてしまいます。
「勝負は戦う前に決まっている」という格言もある通り、試合の前にどんな準備をしておくか、どのように心を整えているかは、勝敗を左右すると言っても過言ではありません。
そこで今回は、スポーツを頑張る子供のための「試合前にするべき準備と心を整える7つのポイント」についてご紹介したいと思います。
本番で強い選手と弱い選手の違い
本題に入る前に「考える大切さ」について少しお話したいと思います。
一般的に本番に強い選手とは「プレッシャー」や「緊張」、「チームの失敗」「失点」に動じることなく、いつも通りのパフォーマンスが発揮できる状態のことを言いますが、選手がそうなるには経験と思考が大きな鍵を握っています。
もちろん生まれ持った性格もありますが、本番に強い選手やどんどん上達していく選手は「でも」「だって」と「できない理由」を作らずに、例外なく「できる理由」を探しています。
もしもこの記事を読んでいる目の前のあなたが選手であれば、あなたもその選手に当てはまるのではないでしょうか?
「もっと試合で力を発揮するためにはどうしたらいいのだろうか」「試合で結果を出すためにできることは何だろうか」などと「できる理由」を探し求めてここに辿り着いたのではありませんか?
逆にいつまでも本番に弱い選手や、結果を出せない選手は「俺はあがり症だから無理なんだよ」「だってプレッシャーに弱いんだよ」と何も行動に移さなければ、結果を残せることもできないでしょうし、この記事を読むこともないでしょう。
本番に強い選手やパフォーマンスを発揮できる選手とそうでない選手の違いは、この「考える力」に差があると言っても過言ではありません。
試合前の準備が大切な理由
画像参照元:https://www.nikkansports.com/
メジャーリーグでも一目を置かれているイチロー選手ですが、彼は「自己管理能力」を称賛されていることでも有名です。
マーリンズのマイケル・ヒル強化責任者も「彼ほどの周到な準備をする選手はいない。彼は成功するために、成果を上げるために、毎日完璧な準備をしている」と話していますし、イチロー選手自身も「ハイレベルのスピードでプレーをするために、僕は絶えず体と心の準備をしています。自分にとって一番大切なことは、試合前に完璧な準備をすることです。」と語っています。
子供達はスポーツをしている限り、その中で感じる「緊張」や「プレッシャー」と戦っていかなければなりませんし、「失敗してしまったら…」「結果を残せなかったら…」「いつも通りにできなかったら…」という「不安」や「恐れ」というマイナスな感情も試合前に整えおく必要があります。
「試合で結果を出せない」「緊張からいつも通りのプレーができない」などの悩みを抱えている子は、今からお伝えします「試合前の過ごし方」や「試合前のメンタルトレーニング」について考えてみてはいかがでしょうか。
試合前の過ごし方
大事な試合だからと特別なことをすると逆効果に作用することがあります。大事な試合の前でも普段と同じ生活リズムで心を整えておくことが大切です。
試合前日の睡眠
試合前日は、しっかりと睡眠をとらなければ疲れがきちんと取れないし、試合で十分な力が発揮できないのではないかと考え、「早めに寝よう」と考えてしまいがちですが、実は逆効果になることがあります。
いつもより早く寝るということは、いつもと違った生活リズムへするということです。しかも、試合前日は独特な緊張感もあり、早く寝ようとしても興奮状態から寝つきが悪くなってしまう可能性があります。
いつも通りに過ごすことは、興奮気味の精神状態を抑える効果も期待できるため、試合前日も「いつもと同じ生活リズム」で過ごすことが大切です。
睡眠時間になっても寝付けない時の対処法
試合前日は「独特な緊張感」や「不安」などからなかなか寝付けないこともあると思います。
私も学生時代はそうだったのでよく分かるのですが、寝付けない時に「何も考えずにとにかく寝なさい」というのは難しいものがあります。
不安や緊張は考えてはいけないと思えば思うほど考えてしまうものです。
たとえば失恋した時に、相手のことを忘れたいと思えば思うほど頭から離れないというような経験は誰にでもあると思います。
それと同じで「~をしてはいけない」という否定形を脳は理解してくれないし、処理してくれません。
そのような時は「リラックスできる環境」を作って眠りを誘うようにしましょう。
リラックスできるヒーリング音楽をかけて寝るのもいいし、アイマスクを使用するのもいいでしょう。
また牛乳にはトリプトファンという物質が含まれていて、神経を落ち着かせる効果があります。 緊張や興奮から寝付けないという時があれば、ホットミルクを飲むといいでしょう。
逆にテレビやスマホのブルーライトが睡眠の質を落とすとされていますので、寝る1時間前には部屋を暗めにして寝る準備をしましょう。
試合当日の朝食
試合で十分な力を発揮するためには、朝食でしっかりと栄養を摂らなくてはと考えてしまいがちですが、こちらも睡眠と同じで、逆効果になる可能性があります。
もちろん朝食を摂ることで、体にエネルギーが満たされ、試合で十分な力が発揮できるようになりますが「これ以上は無理、もう満腹」となるまで食べるのは避けたほうがいいでしょう。
満腹になれば動きにくくなりますし、激しく動こうとすれば胃の中のものが逆流してしまい、腹痛を起こしたり、気分が悪くなったりして試合時の集中力を妨げてしまう可能性がでてきてしまいます。
試合前の食事ポイント
- 試合前は筋肉のエネルギー源となる栄養素を蓄える
- 試合前日、試合当日の朝は消化の良いもので腸内環境を整える
- 試合当日の朝食で体温を上昇させる
また夜遅くに食事をとると食べ物の消化が終わらず、睡眠の質が落ちてしまいます。試合前日の夕食はなるべく早めにすませましょう。
試合前日の練習
体の調子を整えることは、試合前で最も大切なことだと言えます。
試合前だからとクールダウンを行う時間や睡眠時間を削ってまで練習しても、試合当日に疲労が蓄積されていては決していい結果につながりません。
精神的にも自分を追い込まず、クールダウンと体のケアに時間をかけるほうがより良い結果を出してくれるでしょう。
試合前のメンタルトレーニング
では次に「試合前のメンタルトレーニング」について考えていきたいと思います。
これから4つの方法をお伝えしますが、全てのことを完璧に実践する必要はありません。何に対しても完璧を求めてしまっては逆に自分自身を追い込んでしまうため、日頃から少しずつ取り入れて習慣化させるようにしましょう。
そしてこれからお伝えする方法は「メンタルを鍛える方法」ではなく 「メンタルを安定させて前へ進むための方法」になります。
メンタルを鍛えようと奮起して強くするのではなく、メンタルを安定させることで「諦めない心」「粘れる心」「動じない心」がついてくると考えてください。
試合前にはイメージトレーニングを
人は思考を全力で現実にしようとする働きを持っています。
「自分たちは勝てない」「この壁は乗り越えられない」と考えてしまえば、無意識に「勝てない行動」「諦めの行動」をしてしまうため決していい結果はついてきません。
つまり試合前には自分の理想とする試合の運びとなるような、良いイメージを頭の中で何度も繰り返すことが大切だということです。
「そんなことで勝てるわけがない」と思われる方もいるかもしれませんが、何度も頭でイメージすることでその効果を感じることができるはずです。
実際にプロのスポーツ選手でもイメージトレーニングをしている方は多くいます。
たとえ体調がすぐれないと感じる時でも、相手が強豪チームであったとしても、勝つイメージ、良いイメージを持って試合に挑むことが大切です。
試合での目標や課題を明確にしておく
子供達が持つべき目標は2つあります。
1つ目は「地区大会優勝」「県大会出場」「県大会優勝」などチームの目標です。この目標がチーム全体の士気を高めてくれます。
2つ目は「最後まで諦めない」「挑戦する勇気と強さを持つ」「練習での成果を発揮する」など個人の目標です。個人がチーム全体の調子を全て整えるということは難しいことですが、自分自身のコンディションを整えるのは自分自身です。
心が折れそうになっても、もう無理だと思われる試合でも 「これだけは貫き通すと決めている目標」があれば、必ず次につながる試合ができるし、自分自身の成長にも大きな影響を与えてくれるでしょう。
試合に挑む前には、挑戦シート(試合用)や目標達成シートを利用して目標や挑戦することを明確にしておきましょう。
緊張と興奮を呼吸で整える
本番で最高のパフォーマンスを発揮するのに適度な緊張感は大切です。しかし必要以上に緊張を感じてしまえば、選手にとって緊張は天敵となってしまいます。
そこでメンタルを整えるのに効果的な行動が「深呼吸」です。
緊張は自分の思いだけでどうにかコントロールできるものではありません。「緊張してはいけない」「緊張を抑えなければ」と考えてしまうほど脳は否定的な考えに占領されてしまい、いい結果はついてきません。
過度な緊張を感じてしまった時は、その 緊張を受け止めたうえでゆっくり呼吸をしてみましょう。息をゆっくり吐くことで副交感神経を優位にさせるためリラックスさせることができます。
また、行動そのものをゆっくりさせることも大切です。
時間に追われてバタバタしていると交感神経が優位に働いて緊張感が増してしまいます。朝は早めに起きてゆっくりとしたペースで過ごせるようにしましょう。
余計なプライドは家に置いてくる
能力面や技術面から比べても、勝てたであろうチームに負けてしまったという経験はありませんか?
試合直前には、選手同士でも「次は楽勝に勝てるでしょ、余裕、余裕~」と言葉を交わしていたのに惨敗。何ともかっこ悪い負けかたですが、色々なチームを見ていると意外と少なくありません。
「油断していた」「なめてかかった」と原因は明らかで、これが選手だけでなく監督やコーチもそうだった場合には目も当てられません。
「余裕な感じでかっこよく勝ちたい」「ここで失敗をしたら恥ずかしい」自分よりも格下だと思う相手につい抱いてしまう余計なプライドが、試合への集中力を削ぎ、選手のプレーの邪魔をしてしまうのです。
余計なプライドは家に置いき、目の前の試合に集中できる準備をして心を整えてから試合に挑みましょう。
まとめ
今回は 「勝敗を左右する!試合前にするべき準備と心を整える7つのポイント」についてお伝えしましたがいかがでしたでしょうか。
子供達はつい目に見えるもの、つまりバスケットボールで言えば「シュート率を上げる」「ドリブルを上達させる」「体力をつける」などを重要視しがちですが、特に試合の前日は技術面・能力面よりもメンタル面と体調面を整えて試合に挑むことが勝敗を決めるうえで大切だと言えるでしょう。