こんにちは、メンタルトレーナーの葉月です。
今回のテーマは 「試合で力を発揮するために行うイメージトレーニング」についてです。
私は「あがり症を克服したい」「試合前の不安を解消したい」「新しい技術の習得に難航している」などの悩みを抱えている選手にはイメージトレーニングをすすめています。
私が説明するイメージトレーニングとは「選手が目を閉じて、試合場面の状況を思い浮かべてもらい、それを脳内で体験することで、実際の試合でより望ましいメンタル状態を準備したり、より高いパフォーマンスを発揮する」ためのものです。
もしも本番で本来の力を発揮できなかったり、思うようなプレーができず悩んでいる選手や指導者の方は、この記事を参考にイメージトレーニングを習得していただければと思います。
イメージトレーニングで期待できる効果
イメージトレーニングを行うことで以下のような効果が期待できます。
- 新しい技術の習得
- フォームの矯正と改善
- メンタルの安定
- 自信と意欲の向上
- 競技パフォーマンスの向上
人の脳は「現実」と「イメージ」を区別したり、認識することができないと考えられています。
つまりイメージトレーニングを行った回数だけ、実際に体験したものだと脳は認識してくれるということです。
実際のプレーでは何度も失敗してしまうようなことでも、頭の中で「成功」を何度もイメージすることによって、脳に焼き付けることができ、それだけで経験値が上がったと脳は認識してくれます。
プロのスポーツ選手がイメージトレーニングの時間を大切にする理由は、そんな脳の特性にあります。
試合前に行うイメージトレーニング
選手である子供達に「良い試合の流れを作りたい!」という思いがあっても、相手チームに試合の流れを持っていかれてしまえば、思うような動きができずそのまま試合終了・・・なんてケースもあると思います。
子供達やコーチもそんな心の折れるような試合はできればしたくないし、応援している親としてもできれば見たくないと思います。
ここで大切なことは、悪いイメージは悪い結果を引き起こしやすくし、良いイメージは良い結果へとつながっていくということで、試合前には良いイメージを頭の中で何度も繰り返し、徹底的に焼き付けておくことが大切です。
試合前に怖気づいている選手に「何も考えるな」と言っても中々それはできません。
頭の中に犬を描くなと言われると犬をイメージしてしまうことと同じで、マイナスな思考を抱いてはいけないと考えてしまえば、失敗してしまう自分を想像してしまうものです。
ここで知ってもらいたいことは「人の脳で否定と肯定の共存はあり得ない」とうことです。
思考とイメージトレーニング
人は「失敗してはいけない!」と考えれば考えるほど萎縮して失敗してしまうものです。
私たちは当たり前のように日々行動していますが、人は誰でも行動を起こす前に「思考」がないと動くことができません。
そして、その思考は常にポジティブであることが試合での成功率を高めてくれます。
たとえば「失敗してはいけない」と考えると脳に伝達されるのは「失敗している自分の姿」で、「成功させるんだ」と考えると脳に伝達されるのは「成功している自分の姿」なのです。
つまり「失敗してはいけない」ではなく「成功させるんだ」と試合に挑むことが勝利をたぐり寄せる「カギ」になってくれるということです。
試合前のイメージトレーニング
では実際にイメージトレーニングを行ってみましょう。
実際に試合会場に入ってから、試合が終わるまでの流れをイメージしてみます。
ステップ1.試合会場のイメージ
さぁ、試合会場につきました。
行き慣れている会場であれば、イメージの中に見える景色をできるだけ細かく頭の中で描きましょう。
野球であれば球場の歓声や土の匂い、サッカーであれば芝生の匂い、バスケットボールであればバスケットボールの革の匂いや会場へ足を踏み入れた時のドキドキ感なども細かくイメージしましょう。
また試合会場にはたくさんの選手と保護者や指導者がいます。通りすがる人には大きな声で「おはようございます!」と笑顔で挨拶をしましょう。
ステップ2.試合前のイメージ
試合の準備をし、ウォーミングアップが終わればユニフォームに着替え試合開始の時間です。
目をつぶって試合会場であるグランドやコートをイメージしましょう。
ステップ3.試合開始時のイメージ
さぁ!整列・挨拶して試合開始です。挑む相手は強豪チーム。
しかし、イメージの中で行われる試合は、自分の望むような試合展開を進めることができます。
試合前は緊張もするでしょうし、不安や期待もあるでしょう。イメージトレーニングの中では自分の感情「ワクワク」「ドキドキ」も加えてイメージするようにしましょう。
ステップ4.試合の流れのイメージ
自分のイメージの中ではどんな試合が流れているでしょうか?例え相手がどんなに強くても焦る必要は全くありません。
試合の流れは自分のイメージひとつで変えられます。
本番で対応できるように、ピンチやチャンスも含めて様々な場面をイメージしてみましょう。
ステップ5.挑戦へのイメージ
今まで自分が身につけてきた技術を思う存分発揮するのです。失敗を怖がっていては、挑戦すらできないまま試合が終わってしまいます。
自分の実力はこの程度だと決めつけずに自分の可能性をどんどん広げる試合をイメージしましょう。
ステップ6.何度もイメージして徹底的に頭に焼き付ける
実際の試合で頭に焼き付けた良いイメージを持ち続けることができれば、必ずそのイメージが自分の味方となってくれるはずです。
はじめはイメージをすることに苦戦を感じるかもしれませんが、実際にイメージをして結果を実感できれば上手に活用できるようになるでしょう。
怪我をした時こそイメージトレーニングを
誰でも怪我はしたくありませんが、スポーツをしていれば怪我はつきものです。
特に成長期の子供にはオスグッドなど成長期ならではのスポーツ障害もあり、その障害と上手に付き合いながら競技を続けている子供も少なくありません。
しかし、結果的に怪我を良いものするのか、悪いものにするのかは本人次第なのです。
怪我をしてしまったことにショックを受けてふさぎ込んでしまえば、失うものばかりで得られるものなんてありません。
逆に怪我をしたことで初めて自分の体と向き合う選手もいるし、そのことで怪我をしにくい体つくりをするきっかけになる選手もいます。
そして怪我をしているからこそできるイメージトレーニングもあります。
自分より優れた選手を見て自分と何が違うのか、自分のいないコートやグランドを見て改めて自分の役割を再認識することもできます。
自分ならこう動く、あんな時はこうやって動けば良いのかなどを踏まえてイメージトレーニングをしてみることで今まで見えなかったものが見えてくるかもしれません。
ジュニア世代のイメージトレーニング
先日ある指導者の方から、子供達のメンタルトレーニングをお願いされ、小学生がするバスケットチームにお邪魔しました。
今回お会いしたコーチはとてもメンタル面を意識しておられ、選手には「イメージトレーニング」「セルフトレーニング」をさせて試合前の準備をしっかり行っていると伺っていました。
しかし実際子供達に確認してみたところ、「寝る前にイメージトレーニングをしなさい」とコーチから言われているけれど正直ちゃんと出来ているか分からないし、中にはよく意味が分からないのでしたことがないという子供達ばかりでした。
イメージトレーニングを子供達に身につけさせようという発想までは良かったのですが、実際に行動へ移させるのが大人の役目ですね。
「しておきなさいよ」「それが自分の力になるのよ」といくら口で伝えても、その重要性を感じなければ実際の行動へは移してくれませんし、イメージトレーニングを行ってみても効果を実感することができなければ習慣づくことはありませんので、子供達がコツを掴むまではしばらく大人が一緒にしてあげるといいでしょう。
まとめ
普段の練習から試合をイメージしながら練習しなければ中々上達しないし、本番で実力を発揮することができません。
人は脳でイメージしたことを現実にしようとする働きがあるので、イメージトレーニングを習慣づけることができればきっといい結果につながってくれるでしょう。