【部活・スポ少】スポーツにおけるスランプの原因と6つの克服方法

こんにちは、メンタルトレーナーの葉月です。

スポーツなどひとつの事に対して真剣に取り組んでいれば「努力しても結果が出せない」「成績が伸び悩んでいる」「自己ベストが更新されなくなってしまった」など、一時的なスランプは誰にでも訪れてくるものです。

夢に向かって1つ1つ目標をクリアして「自分自身の成長」を感じられている時期は何をしても上手くいくし、試合がしたくてウズウズすることもあるでしょう。

ところが逆に、何をやっても上手くいかない時期だと「この不調がずっと続くのではないか」「自分はここが限界なのではないか」「こんな自分では誰からもいい評価を得られないのではないか」などと、不安や恐怖、孤独感を感じてモチベーションを低下させてしまうことがあります。

私がメンタルトレーナーとして携わっている男子バスケットボール部の中にも、一時的に陥ったスランプのせいで、イライラしたり、プレーに集中できないという状態にハマってしまう選手がいます。

真面目に取り組んでいても「結果」が思うようについこないため、モチベーションが低下して苦しんでしまうというものです。

選手がこのような状態になると、近くで見ている保護者の方も「苦しんでいる子供の姿を見たくない」「何とか克服させてあげたい」と感じるだろうし、指導者の方は「この状態で試合に出すべきか」「練習量を増やすべきか」などの悩みを抱えることがあると思います。

そこで今回は、以下のようにそれらを踏まえた「スランプとの向き合いかた」についてお話ししたいと思いますので、最後までお付き合いいただければと思います。

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スランプとは

野球の試合

スポーツをする子供達が「今の自分はスランプに陥っている」と判断する線引きはとても曖昧だし、指導者や保護者の方も「これはスランプだ!」と判断することは中々と難しいと思います。

たとえば、ある一定のレベルになるまでは「決められた練習」をこなしているだけでも結果につなげることができるし、上達していることを実感でき、日々の練習の中でも達成感を得ることができると思います。

しかしある程度のレベルや年齢に達すると「得意なこと」と「苦手なこと」、「好きな練習」と「苦痛な練習」に合わせて、身体的な特徴などから「するべき課題」を避けてしまったり「苦痛で地道な努力」ができなくなってしまうことがあります。

そして子供達はとりあえず「何らかの練習」をやっておけば、努力を怠っていない気になったり、練習をちゃんとやっている気になります。

その結果「頑張っているのに結果がついてこない」「努力をしているのに自己ベストが更新できない」となるわけですが、それがスランプかと聞かれれば、答えは「NO」で、それは「プラトー」と呼ばれるものに当てはまりますので、自分の苦手を克服する努力を怠らないことが大切になります。

では「スランプとは何?」って話ですが、スランプは精神的なものが大きく影響してパフォーマンスが安定しないことをさし、この場合は長引かせないように取り組むことが大切ですので、これからお話していきたいと思います。

スランプに陥る原因やきっかけ

部活 スランプ

スランプに陥る主な原因は「精神的な影響」が大きいとされていますが、メンタルが弱いから陥るというものではありません。

普段から十分にメンタルケアを行っているトップアスリートでも、何らかの原因でスランプに陥ることがあります。

たとえば・・・

  • 怪我や体調不良
  • 周りからのプレッシャー
  • 試合に対するストレス
  • 采配に対するストレス
  • 身体的、肉体的疲労
  • 目標の見失い
  • 人間関係(チームメイト・指導者)の悩み
  • 練習メニューに対する疑問や不満

など、このような事がきっかけとなってスランプに陥るケースが多くみられますが、根本的な原因はこれらのことに対して抱く「不安」や「恐怖感」にあると考えます。

  • 怪我のせいでレギュラーから外されるかもしれない
  • また膝の痛みが再発したら…
  • コーチの期待に応えられなかったら…
  • 失敗したら親からがっかりされるだろうな
  • 自分は誰からも評価されていないのではないか
  • 本当に目標を達成することができるのだろうか
  • どうしてコーチは僕の気持ちを理解してくれないのか
  • こんな練習を続けて結果が出せるのか

そしてこれらの「不安」が「焦り」となり、目先の成果を求めた衝動的な行動が原因となって、さらに子供達を精神的に追い込んでしまうことがあります。

最盛期と衰勢期の過ごし方

テニス

人は誰でも「バイオリズム」と呼ばれるものがあり、「最盛期」と「衰勢期」があります。

衰勢期に突入してしまうと、最盛期にはあった勢いは低迷し、何をやってもうまくいかないという状態に陥ります。

ただ、頭の中の記憶には「最盛期の自分」がいつまでも残っていて、そこでそのギャップに焦ったり悩んだりしてしまいます。

その焦りや不安、恐怖感が強くなればなるほど悪循環となり、スランプから抜け出すことが難しくなってしまいます。

特に日本人は「我慢が美徳」「忍耐が美徳」という文化があり、その中で育ってきた大人達は子供達にも同じことを求めてしまう傾向にあります。

そのため「子供達はどうしたら全力で走り続けることができるか」ということに意識を向けられがちですが、子供のメンタルを安定させるために大切なことは「どうしたら気持ちをオフに切り替えられるか」ということです。

この「オフ」にする時間がなければ「体がついていっても心がついていかなくなる」という状態に陥ってしまう危険があります。

そしてこれらことからも分かるように「プラトー」と「スランプ」に対する対応の考え方は真逆ですので、周りにいる大人達は子供の状態をしっかり理解してあげる必要があります。

子供がスポーツでスランプに陥った時、親がして良いこと悪いこと
親にとって、子供が苦しんでいる姿を見ることはとても辛いことです。それは同じ親としてとても共感できます。 しかし、スランプを乗り越えるのは子供自身だし、親としての役目は転んでいる子供を抱き起すことでも、「立ち上がりなさい!」と叱咤することでもありません。

スポーツで大切なこと

バスケットボールの試合

皆さんは「スポーツをする子供達がメンタル面で最も必要なこと」ってなんだと思いますか?

私が先日開いた「保護者のためのメンタルトレーニング講座」でお母さん達に同じことを尋ねると

  • 「折れない心」
  • 「諦めない強さ」
  • 「努力を怠らない」
  • 「負け気」
  • 「やる気」
  • 「目標達成」

などたくさんの答えが返ってきました。

確かにスポーツをする子供達にはどれも欠かせないものだと思います。

しかし、最も強くなる選手や結果を出せる選手が必ず持っているものは「好きでしている」「楽しんでしている」ということです。

楽しんでしているから日々の辛い練習にも前向きに取り組めるわけですし、「折れない心」や「諦めない強さ」などは、その後からついてくるものにすぎません。

スランプに陥ってしまう原因にもそれは大きく影響し、不安や恐怖心が強い状態だとスポーツを楽しんでできないし、そのためモチベーションを保つことが難しくなったり、目標や夢が曇ってしまうことがあります。

スポーツの現場では「メンタルトレーニング」という言葉がよく聞かれるようになりましたが、子供の気持ちを置き去りにして大人が色々なことを求めすぎてしまえば、その行い自体が逆効果となってしまうことがあります。

では次に、「スランプに対してどのように向き合っていくことがいいのか」について考えていきたいと思います。

スランプを克服する6つの方法

スランプは一時的な伸び悩みに過ぎませんので、現状から抜け出すことは可能ですし、それほど悲観的になる必要もありませんが、実際にスランプに陥ってしまった選手にとっては辛い時期だと思います。

スポーツをする子供達にとってスランプは避けて通れない道です。

楽しくスポーツを続けながら、これからも選手として成長していけるように「スランプに対する向き合い方とスランプの克服法」についてお伝えしたいと思います。

人と比べない

野球の試合

人は誰しもが「弱い自分」を持っています。

自分よりも劣っている人間を見ると優越感から努力を怠けてしまい、自分よりも勝っている人間を見ると劣等感を感じて平常心を保てなくなるものです。

人と比較することでモチベーションを保てる場合もありますが、本当に大切なことは 自分自身の成果です。

個人個人が目標とするものも違いますし、課題も違います。

「あいつの方が勝っている」「あいつの方が劣っている」と周りに左右されていると本来自分が何をすべきなのかが見えなくなってしまい、負の無限ループに陥ってしまえばスランプからも克服することはできません。

ライバルは周りではなく「過去の自分」なのです。昨日の自分を超えられる努力をし続ける事が、明日の成長へとつなげてくれることでしょう。

目標を見直す

空手

目標がしっかりと定まっていなかったり目標が自分に見合っていない場合に、自分の気持ちと体がついていけず、練習へ対する意欲の低下を招くことがあります。

目標は「少し頑張ればできるもの」が理想ですし、その積み重ねが自信となり大きな結果へとつなげてくれます。

また目標が本当に自分が成し遂げたいものでない場合、つまり周りからの期待に応えるためだけの目標だった場合も曇りやすくなるため、目標を立て直すこともひとつの方法です。

目標を立てるうえで大切なことは「自分が本当に成し遂げたいこと」「それまでの過程がしっかりされていること」「まずは行動すること」などがあげられます。

正しい目標設定で子供を本気にさせる6つの法則|目標達成シート活用術
「目標がある選手」と「目標がない選手」とでは、やる気にも集中力にも大きな差が生まれるため子供達がスポーツをするうえで「目標を持つ」ということはとても大切なことです。 ただし、目標の立て方に問題があれば達成することは難しいし、子供達のモチベーションの低下につながるケースもあるため、大人が無理に目標を持たせることはオススメできません。

スランプを楽観的に考える

サッカーをする少年

スランプは、自分で掲げた目標が中々達成できなかったり、物事が自分の思い描いていた通りにいかなかった時に陥りやすくなります。

ですから「何も挑戦をしない」「何も行動を起こさない」「今の現状で満足」を徹底している選手は、辛いスランプを経験せずにすみますが、そのような選手はスポーツに向いているとは言えません。

つまりスランプに陥ったからと、自分の能力に対して悲観的になる必要はないし、劣等感を感じる必要も落ち込む必要もありません。

しかもスランプに陥ることで自信を失くしてしまえば、さらにパフォーマンスの低下を招いてしまうことは説明するまでもありません。

スランプに対して「乗り越えなければ」と考えるとさらに自分を苦しめてしまいます。そこは思考を変えて、「次の扉を開くときがきた」と考え、脳がネガティブにならないことが大切です。

スランプの原因を探って向き合う

野球のベンチ席に座る少年

スランプに陥る原因は、周りからのプレッシャー、環境の変化、怪我など様々です。

スランプの原因が怪我の場合ですと、焦りは禁物です。逆に自分の体と向き合ういい機会だと考え、自分の体の弱点を理学療法士などプロの方に相談してみることもいい機会だと思います。

周りからの期待がプレッシャーとなり、そのことが原因でスランプに陥るケースがありますが、常にそこを目指そうとして自分を苦しめてしまっては本末転倒です。

スランプに陥った時に焦りから練習量を増やしたり、自分を追い込んでしまうことがありますが、衰勢期に無理やり自分を奮い立たせようとしても逆効果です。

原因を追究してみても、自分で答えを見つけることができない場合は、思い切って監督やコーチ、信頼できるチームメイトに相談してみるのもひとつの方法です。

自分の主観だけで考え込まず、人の意見を取り入れる事によって意外な部分に原因を発見して簡単にスランプを克服できることがあります。

今を生きる

サッカーの試合

長い間スポーツをしていれば、最盛期と衰勢期の波は必ず訪れます。

何をしても上手くいかない時は、過去の栄光にしがみつきたくなることがあるかもしれませんが「あの時の自分はよかったな~」と過去の栄光に執着していてもスランプは克服できませんし、逆に「あの時こうしてれば」「あの時こうしていたら」と過去を後悔しても仕方ありません。

一番大切なことは、前に向けて歩けるように「今の自分自身」を受け止めることで、最盛期がやってきた時に大きな結果が出せるかどうかは、衰勢期にいかに下を向かず努力を続けられてきたかで決まると言っても過言ではありません。

最盛期がやってきてから行動するのではなく、今この時から前を向いていることが大切です。

スランプはルーティンで乗り切る

シュート練習

スランプに陥ったとき、「ずっとこの不調が続くのではないか」という不安や焦りから、いつもと違う行動をしてしまうことがあります。

しかし、実際にそうすることによって、悪循環にはまったという選手は少なくありません。

メジャーリーグで活躍してきたイチロー選手も「スランプだからといって特別な対処はしない」という考えを持っています。

大切なことは、自分のやるべき努力を怠らず「ルーティン」の行動を変えようとしないことです。

スランプに陥ったことでモチベーションが保てなくなり、いつもと違う事をすれば自分の見直すべき弱さやクセが見えなくなってしまいます。

その結果、また同じようなことでスランプに陥るという悪循環を繰り返す恐れがあります。

スランプに陥っているときこそ、特別なことはせず「ルーティン」でスランプを乗り切ることが大切です。

【必見】子供達のやる気と集中力を高める「ルーティン」を伝授!
子供達がせっかくやる気を出しても、いつの間にか曖昧になってしまうことはとても残念で勿体ないことです。 そこで今回は 「子供達のやる気と集中力を高めるのに効果的なルーティン」についてお伝えしたいと思います。

スランプに関する名言集

陸上競技

苦しいから逃げるのではない。逃げるから苦しくなるのだ。(ウィリアム・ジェームズ)

今自分にできること。頑張ればできそうなこと。そういうことを積み重ねていかないと、遠くの目標は近づいてこない。
自分のできることをとことんやってきたという意識があるかないか。それを実践してきた自分がいること、継続できたこと、そこに誇りを持つべき。(イチロー)

努力しても報われないことがあるだろうか。たとえ結果に結びつかなくても、努力したということが必ずや生きてくるのではないだろうか。それでも報われないとしたら、それはまだ、努力とはいえないのではないだろうか。(王 貞治)

まとめ

今回は「スポーツにおけるスランプの原因と6つの克服方法」についてお伝えしましたがいかがでしたでしょうか。

スランプに陥っている時というのは、この不調がずっと続くんじゃないかという不安からメンタルが乱れ、さらにパフォーマンスの低下を引き起こしてしまう。

それは魔の無限ループです。

そうならないためには、ここでお話しした6つの法則が大切です。

結果を出せる選手には、前へ進もうとする力を引き出す能力があります。

下を向いて歩いていても何一ついいのもは落ちていません。たとえスランプに陥った時にでも前を向いて進むことが大切です。