バスケでイップスになる原因や症状と5つの克服法

2015年12月1日メンタル強化

バスケットボールをする少年たち

こんにちは、メンタルトレーナーの葉月です。

精神的なものが原因で、パフォーマンスの低下や運動障害を起こすことが「イップス」と呼ばれ、プロのスポーツ選手だけでなく、スポーツを頑張る子供達のことも時に苦しめています。

先日も男子バスケットボール部に所属する中学生のカウンセリングを行いましたが、彼の場合は、過去の栄光と失敗が今現在の自分を苦しめているという状態でした。

現在は通常の練習メニューをこなせるまでの回復に至りましたが、彼はとても真面目な性格なため、限られた時間を空白の時間にしてしまったことに対して、いまだ消化しきれない思いが残っているようです。

今回は、彼のようにイップスに悩む子の話を踏まえ、「イップスにはどう向き合って克服すればいいのか」について考えていきたいと思います。

スランプとイップスの違い

バスケットボール

競技パフォーマンスが低下する点を考えれば、イップスとスランプは似ているように感じます。

スランプは一時的にパフォーマンスが低下したり、自分の持つ力が上手く発揮できなくなることをさしますが、スランプはするべき努力を続けていれば、そのうち抜け出すことができます。しかしイップスは違います。

不安や恐怖のよみがえりを繰り返し経験すればするほど、その不安や恐怖感がどんどん大きくなり、最終的には自分で感情のコントロールが効かないものとなってしまいます。

消してしまいたいと思っている記憶ほど、鮮明によみがえってしまうもので、嫌な記憶を忘れたいと思えば思うほど、脳は何度もリピートしてさらに記憶を脳へインプットしてしまいます。

そして、イップスの辛いところは、周りからの理解を得られないというところです。

イップスになれば、基本的な競技動作すらできなくなることがあるため、コーチやチームメイトから「馬鹿にしてるのか?」「ふざけているのか?」と言われる。

そう言われた本人は、どんどん追い込まれ 「負の無限ループ」に陥ってしまうのです。

イップスになる主な原因

野球をする少年

イップスは「失敗してはいけない」と強く認識した時に起こるケースがほとんどです。

そのパターンは大きく分けるとふたつあります。

ひとつ目は過去に経験した失敗のフラッシュバックです。

「大事な試合の大事な場面で自分が失敗してしまったので負けてしまった」そして同じような場面に出くわした時に「また同じ失敗をしてしまったら」「もう同じ失敗はしてはならない」と強く思うことでイップスを起こすことがあります。

ふたつ目は今までに感じたことのない緊迫感です。

これは実際にあった野球選手の話です。幹也君という素晴らしい能力を持つ高校2年生の選手がいました。

彼が通う高校は強豪校で甲子園を目指して日々の練習を頑張っていましたが、3年生のピッチャーが腕を負傷し最後の引退試合に間に合うかどうか・・・という状態でした。

そこで監督からは幹也君がピッチャーを任命されました。幹也君は今までも度々試合に出ては結果を残していましたし、何より先輩達から信頼されていましたので、監督もこの采配に不安はなかったと思います。

そんな幹也君の順調な野球人生に転機が訪れたのは、試合を1ヶ月前に控えた練習中でのことでした。

「1ヶ月後には先輩達の大切な試合。そこで自分が失敗してしまったら先輩達の夢を壊してしまう。何が何でも失敗はできない」と気合いを入れて練習へ挑みました。

自分の体に違和感を感じたのはその時です。先輩バッターへ向けてボールを投げるもストライクが入らず、挙句の果てには先輩の足元へボールが落ちる始末。

幹也君は体調が悪いわけでもないのに、体に力が入らずとにかく今までに感じたことのない感覚があったと話します。

当時の幹也君には一体自分に何が起こっているのかも分からず、周りからは「集中しろ!」「真面目にしろ!」言われるようになり、ボールを投げることが嫌になったと言います。

結局彼はメンバーから外されて、他の選手がメンバー入りしました。

このようにパターンは違っても「失敗してはならない」と強く感じた時にイップスが起こるとされています。

バスケ選手が起こしたイップスの話

これは高校でバスケをしていた男子生徒のお話です。

彼は小学生の頃からバスケをしており、その当時から地元では「エース」として有名な選手でした。彼は中学生になっても選手として一目を置かれていましたが、彼の頑張りすぎる性格と過酷すぎるスポーツ指導の結果、左足に重度のオスグッドを引き起こし、歩行にすら支障をきたすほどでした。

しかし、顧問は彼に「痛みと付き合いながらやって行くしかない。スポーツに怪我は付きものだ、弱音を吐いたら負けだ!」と言いました。

彼は専門の施設でリハビリとトレーニングを行いながら練習へも参加していましたが、症状は悪くなるばかりで、大事な試合では右足までも痛みを感じるようになり、本来の力の30%も出すことができませんでした。

その後、彼が試合でコートに立つことは二度とありませんでした。

その原因は怪我というより「イップス」でした。

彼はその後トレーナーの指示で練習を休み、膝の痛みは引いたけれど、今までできていた単純な動きすらできなくなってしまったのです。

そして試合前になると、膝が痛み出すのです。ボールが手に付かなくなり、シュートも入らなくなる。ポイントガードだった彼にとってはとても致命的な状態でした。

そして彼は「もう体育館にいること自体が辛い」と言い、コートから立ち去ってしまいました。

彼のお母さんにお話を聞くことができたのですが、ボールを手に持つと顧問の「また逃げるのか?」「気持ちで負けているから痛みを感じる」という言葉が頭を駆け巡り、全身の力が抜けていく感じがすると言っていたようです。

彼はとても有能な選手だっただけに、本当に悔やまれてなりません。

イップスの主な症状

サッカーをする少年

  • 著しい競技能力の低下
  • 筋肉の硬直
  • 体の一部が痙攣を起こす
  • 異常な緊張感
  • 手足に力が入らない

ゴルフを例にすると「体が硬くなっていつも通りのスイングができない」「簡単なパターなのに、強く打ち過ぎたり弱く打ってしまう」などがもっとも多く見られる症状です。

つまりイップスとは「今までは何も考えずできていた当たり前の動作」ができなくなってしまった状態をいいます。

また「通常通りの動作ができない」という点以外で主な症状はなく、「倦怠感」「やる気の低下」など体の不調がみられることはあまりありません。



イップスになりやすい人

バスケットボールをする少年

  • 真面目な性格
  • 責任感が強い
  • 人に気を使いすぎる
  • 喜怒哀楽の感情を表に出さない

イップスに対して「メンタルが弱いから起こすんだ」「練習が足りていない証拠」だという方がいますがそれは大きな間違いです。

幹也君のように今まで何度も結果を残してきた選手でも、何かをきっかけにイップスを起こすことはあるのです。

そして最も注意したい点は、イップスに陥るのは責任感の強い人が多いため、そうなった自分を責めることでさらにメンタルをボロボロにしてしまうケースが目立ちます。

2015年12月1日メンタル強化

Posted by kids-athlete