イップスになる原因と効果的な克服法を解説

2015年12月1日スポーツ障害

こぶしを握る野球選手

トラウマとは皆さんもご存知の通り、大きな精神的ショックや恐怖が原因で起きる心の傷です。

その心の傷が原因で パフォーマンスの低下、運動障害を起こすことが「イップス」と呼ばれています。

過去に「自分の失敗でチームを敗北へと導いてしまった」などのように大きな失敗を経験し、同じような状況に立たされたとき、そのことを思い出して脳が嫌な感情に支配されるという経験はありませんか?

嫌な感情を無理にかき消そうとしても、人の脳はなかなか記憶を消してはくれません。

むしろ、消したいと思えば思うほど、嫌な感情に脳が支配されてしまいます。

今回は 「イップスになる原因と効果的な克服法」についてをお伝えしたいと思います。




スランプとイップスの違い

スポーツを真剣に取り組んでいれば、誰でもスランプはやってきます。

スランプとは一時的にパフォーマンスが低下したり、自分の持つ力が上手く発揮できなくなることをさし、スランプはするべき努力を続けていれば、そのうち抜け出すことができますが、イップスは違います。

不安や恐怖のよみがえりを繰り返し経験すればするほど、その不安や恐怖感がどんどん大きくなり、最終的には自分で感情のコントロールが効かないものとなってしまいます。

消してしまいたいと思っている記憶ほど、鮮明によみがえってしまうもので、嫌な記憶を忘れたいと思えば思うほど、脳は何度もリピートしてさらに記憶を脳へインプットしてしまいます。

そして、イップスの辛いところは、周りからの理解を得られないというところです。

イップスになれば、基本的な競技動作すらできなくなることがあるため、コーチやチームメイトから「馬鹿にしてるのか?」「ふざけているのか?」と言われる。

そう言われた本人は、どんどん追い込まれ 「負の無限ループ」に陥ってしまうのです。

イップスになる原因

イップスは「失敗してはいけない」と強く認識した時に起こるケースがほとんどです。

そのパターンは大きく分けるとふたつです。

ひとつ目は過去に経験した失敗のフラッシュバックです。

「大事な試合の大事な場面で自分が失敗してしまったので負けてしまった」そして同じような場面に出くわした時に「また同じ失敗をしてしまったら」「もう同じ失敗はしてはならない」と強く思うことでイップスを起こすことがあります。

ふたつ目は今までに感じたことのない緊迫感です。

これは実際にあった野球選手の話です。幹也君という素晴らしい能力を持つ高校2年生の選手がいました。

彼が通う高校は強豪校で甲子園を目指して日々の練習を頑張っていましたが、3年生のピッチャーが腕を負傷し最後の引退試合に間に合うかどうか・・・という状態でした。

そこで監督からは幹也君がピッチャーを任命されました。幹也君は今までも度々試合に出ては結果を残していましたし、何より先輩達から信頼されていましたので、監督もこの采配に不安はなかったと思います。

そんな幹也君の順調な野球人生に転機が訪れたのは、試合を1ヶ月前に控えた練習中でのことでした。

「1ヶ月後には先輩達の大切な試合。そこで自分が失敗してしまったら先輩達の夢を壊してしまう。何が何でも失敗はできない」と気合いを入れて練習へ挑みました。

自分の体に違和感を感じたのはその時です。先輩バッターへ向けてボールを投げるもストライクが入らず、挙句の果てには先輩の足元へボールが落ちる始末。

幹也君は体調が悪いわけでもないのに、体に力が入らずとにかく今までに感じたことのない感覚があったと話します。

当時の幹也君には一体自分に何が起こっているのかも分からず、周りからは「集中しろ!」「真面目にしろ!」言われるようになり、ボールを投げることが嫌になったと言います。

結局彼はメンバーから外されて、他の選手がメンバー入りしました。

このようにパターンは違っても「失敗してはならない」と強く感じた時にイップスが起こるとされています。

イップスの主な症状

・著しい競技能力の低下
・筋肉の硬直
・体の一部が痙攣を起こす
・異常な緊張感
・手足に力が入らない

ゴルフを例にすると「体が硬くなっていつも通りのスイングができない」「簡単なパターなのに、強く打ち過ぎたり弱く打ってしまう」などがもっとも多く見られる症状です。

つまりイップスとは「今までは何も考えずできていた当たり前の動作」ができなくなってしまった状態をいいます。

また「通常通りの動作ができない」という点以外で主な症状はなく、「倦怠感」「やる気の低下」など体の不調は見られないことが多いのが特徴です。

「倦怠感」「やる気の低下」「頭痛」の低下などを感じている場合は燃え尽き症候群の可能性が高いでしょう。




イップスになりやすい人

・真面目な性格
・責任感が強い
・人に気を使いすぎる
・喜怒哀楽の感情を表に出さない

イップスに対して「メンタルが弱いから起こすんだ」「練習が足りていない証拠」だという方がいますがそれは大きな間違いです。

幹也君のように今まで何度も結果を残してきた選手でも、何かをきっかけにイップスを起こすことはあるのです。

ただ注意したい点は、イップスに陥るのは責任感の強い人が多いため、そうなった自分を責めることでさらにメンタルをボロボロにしてしまう。そのため、 早い段階で周りが気が付いてあげることが大切です。

2015年12月1日スポーツ障害

Posted by kids-athlete