【叱ると怒るの違い】子供のやる気を引き出す賢い親の叱り方

サッカーをする少年たち

こんにちは、メンタルトレーナーの葉月です。

  • 「子供が間違ったことをしたから叱る」
  • 「やるべきことをやっていないから叱る」
  • 「子供が失敗したから叱る」
  • 「やる気を感じないから叱る」

など、お母さんやお父さんが子供達へ口うるさく言ってしまう場面は多々あると思います。

そして時にはつい怒鳴ってしまったり、しつこく言い聞かせたりしてしまうこともあるでしょう。

しかし、親の意図や思いが子供達へきちんと伝わっているのかと言えば、それは実に難しいもので、それどころか自己肯定感や自尊心を削ってしまっている場合があります。

そこで今回は 「子供のやる気を引き出す賢い親の叱り方」について考えていきたいと思います。

スポンサーリンク

「怒る」と「叱る」の違い

怒ると叱る

「叱る」と「怒る」は似ているようで全く意味が異なります。

「叱る」とは、事の善悪をしっかりと相手に教えてあげることで、「怒る」とは、怒りなどの感情をただひたすら相手ぶつけることです。

お父さんやお母さんは、自身の怒りの感情を子供にぶつければ、スーッとしてストレスが解消されるかもしれませんが、子供は親からぶつけられた感情を自分の中で消化しなければならず、消化されない部分はストレスとして蓄積されてしまいます。

子供を育てていく中で「怒る」よりも「叱る」のほうがお子さんにいい影響を与えることは説明するまでもないでしょう。

叱る前に一呼吸

子供達を育てていく中で、叱るべき機会はたくさんあると思います。でも、少し冷静に考えてみてください。

「悪いことをしたから」
「するべき事をしていないから」
「失敗ばかりするから」

親として「きちんと叱らなければ!」という思い込みから必要以上に叱ってはいませんか?

たとえば、試合中にある選手が失敗をしてしまったとしましょう。

そんな子供の失敗やミスが許せないお父さんやお母さんは「何を失敗ばかりしているんだ!気持ちを切り替えろ!」と責め立てます。

ところが子供自身に「よし、次は絶対に成功させる!」と気持ちを切り替えて前へ進もうとする意思があったらどうでしょう?

「何を失敗ばかりしているんだ!気持ちを切り替えろ!」などといった言葉かけは要らないと思いませんか?

むしろその場合だと、逆にやる気をなくしたり、叱ることで子供が委縮して不安感や恐怖感を抱いてしまったりと、失うことの方が大きいように思えます。

「叱る」という行動に決して欠けてはいけないもの、それは 「相手の気持ちを理解する」ことと 「相手を思いやる気持ち」です。

もし、お子さんを叱らなければならない状況になった時には、今一度冷静に掛ける言葉を考えてあげてください。もしかしたら親として「叱る」ことよりも、もっと大事なことが見つかるかもしれません。

【親必見!】思春期の子供と上手にコミュニケーションをとる方法
大人は知っていることがたくさんあるし、たくさんのことを経験してきているため、子供達に何か大切なことを伝える時、一度に多くのことを伝えようとしてしまう傾向にあります。 しかし子供が一度に情報を受け入れる量は決まっていて、一度に多くのことを言われれば結局重要なことが伝わっていなかったということも珍しくありません。

思春期の子供に叱咤は逆効果?

バスケットボールの試合

これは私がメンタルトレーナーとして携わっているクラブチームに所属する選手のお話しです。

ある日の練習試合、1試合目では相手チームの戦略のせいでミスは目立ったけれど、いつも通りに諦めず最後まで頑張った裕人。彼なら気持ちを切り替えて頑張れるだろうと、私は彼に声もかけることなく2試合目のアップに入りました。

しかし、アップをする裕人の様子に異変を感じて私は彼に声を掛けました。

葉月「裕人、調子はどう?」

裕人「大丈夫です。」

葉月「なんかイラついてない?」

裕人「あ…実は、さっき親に色々言われてムカついてます。」

葉月「なんて言われたの?」

裕人「何回同じ失敗るんだって口うるさく言われました。」

葉月「お母さんだって応援してるのよ。それは裕人が一番分かってるでしょ?」

裕人「でも、自分だって失敗したくてしたわけじゃないし、次は気持ちを切り替えて頑張ろうって思ってたのに、そんなに調子が悪いなら帰れって言われてまじでウサイって思いました。」

葉月「で?裕人はお母さんに何て返したの?」

裕人「あまりにもイラっときて…何にも俺のこと分かってないくせにうるさいんだよ!って言ってしまいました。」

葉月「OK!お母さんには私の方からも話しておくから。お母さんは裕人を応援してて、裕人はちゃんと試合と向き合おうとしている。その気持ちをお互いに理解しようとする気持ちが追いつかなかったのね。お母さんも裕人の反抗的な態度の意味を知ればきっと喜ぶわ(笑)」

思春期の子供達は、親から自立して自分の意思で歩きたいと考える時期でもありますし、そのためいつまでも親の言うことを素直に受け入れることはありません。

それは子供の成長に合わせて親も接し方を変えていく必要があるということです。

やる気を引き出す賢い親の叱り方

では子供を叱る時はどのようなことに気をつけて行動することがいいのでしょうか。

私がメンタルトレーナーとして様々な保護者の方と関わるようになり、子供のメンタルトレーニングをするうえで良くも悪くも勉強になる親御さんがたくさんいらっしゃいました。

今回はそのような経験を踏まえて「子供のやる気を引き出す賢い叱り方」についてお話ししたいと思います。

まずは子供をしっかり見る

野球の試合

試合になると練習とは違う緊張感やプレッシャーを感じて、練習ではしないような失敗をしてしまったり、焦りや不安からメンタルを乱してしまう選手がいます。

そんな姿を見て「何やってんだ!?」「練習通りにしなさい!」という言葉は選手にとっていい影響を与えるのでしょうか。

このような言葉をかけるお父さんやお母さんは、子供をきちんと見ているようで実は見ていません。目に映る子供の失敗は見逃していませんが、それはプレーを見ているだけで子供自身の状態についてはきちんと見てあげれていないのです。

本当に見ていれば「試合になると緊張してしまうな…」「気持ちが不安定になってるな…」と考えるため、子供にかける言葉は変わってくるはずです。

子供を叱る時は、とにかく子供の状態をしっかり理解してあげることが第一優先です。その中で子供が前へ進めるために「叱咤激励」 の言葉をかけてあげるようにしましょう。

我が子と周りの子を比べない

バスケットボールの試合

  • 「あの子にできて何故お前にはできないんだ」
  • 「一緒に入部した〇〇君はもう試合に出てるのに」
  • 「もう少し〇〇君みたいにガッツがあればね」
  • 「〇〇君お勉強もできるんだって?羨ましわ」

このように子供達はスポーツをするうえでも学校生活を送るうえでも、常に周りの子供達と比較されながら生活しています。

親からこのようなことを言われ続けた子供達は、自分自身の成果よりも「自分はこのチームで何番目に強いのか」「自分はどれくらいコーチに必要とされているのか」などと周りの評価ばかりを気にするようになってしまいます。

周りと比べて自分は劣っていると思えば、気持ちは焦るばかりでいい結果にはつながらないでしょうし、逆に周りと比べて自分は優秀だと思えば、練習や試合で気の緩みが生じてしまうかもしれません。

スポーツをするうえで大切なことは「今日の自分は昨日の自分より成長しているか」です。

しかしお父さんやお母さんが周りの子供と比べて責めるような発言をしてしまえば、子供は必要以上に周りを意識して、本来自分がするべき努力が見えなくなってしまいます。

つまり、周りの子と比べて叱ったり、褒めたりすれば、選手としての成長を最大限に妨げる恐れがあるということです。

もし子供が間違った行動をしていて叱る必要があるときは、子供本人の問題についてシンプルに簡潔に伝えるようにしましょう。

スポーツ心理学|子供が挫折や失敗から強くなる6つの法則
スポーツ少年団の子供達や、中学の部活動でスポーツをしている子供達は、失敗や挫折に対して悪いイメージを抱いているため、メンタルを乱して同じようなミスを繰り返してしまうことがあります。 そこで今回は 「スポーツをする子供が挫折や失敗から強くなる6つの法則」を考えていきたいと思います。

親の価値観や考え方を押し付けない

陸上部

子供の「努力する姿」や「夢中になっている姿」を見ると、親としては大変嬉しいし応援したいと思うのは当然のことだと思います。

しかし、全てにおいて「親の考える理想どおり行動」をするわけでもないし、子供達が常に最高の努力をすると期待してはいけません。

努力をするかどうかは、子供のやる気や気持ちや考え方次第であり「理想と現実のギャップがあって当たり前」だということを理解しましょう。

そうすれば、子供にやる気を出させようと必要以上にせがんだり、困らせたり、皮肉を言ったり、恐怖感を与えないですみます。

罰や褒美で一時的なやる気を出せるのではなく、 自らがやる気を出せる環境を作ってあげることが何より大切です。

【内発的動機づけ】スポーツをする子供のやる気を引き出す6つの法則
心理学でやる気を高めることを 「動機づけ」(モチベーション)と呼び、モチベーションを保つことはスポーツをするうえでも、勉強をするうえでも、子供達が出す結果に大きな影響を与えます。

たまにはスパイスで「怒る」を使う

「怒る」よりも「叱る」のほうが良いと言っても、お父さんやお母さんも人間です。洗練された教育ロボットではありません。

人対人がコミュニケーションをとる中で「怒る」という感情は当然あります。それは親子関係でも同じことです。

お子さんが叱られることに慣れ、心に響いていないと感じた時は、スパイスとして「怒る」という事も必要でしょう。

いつもと違うお父さんやお母さんを見せることで、「お父さんがこんなに怒るなんて」「お母さんがこんなに怒るなんて」と事の大切さを感じてくれるのではないでしょうか。

まとめ

今回は 「叱ると怒るの違い|子供のメンタルを整える6つの法則」についてお伝えしましたがいかがでしたでしょうか。

褒めたり叱ったり、子供の自己肯定感や自尊心を削らずに育てていくのは本当に容易なものではありません。

子供達は親の愛情に包まれているからこそ、素直に成長していくことができる反面、ときにその愛情がプレッシャーになったり負担になったりすることがあるということを、お父さんやお母さんは理解する必要があるかもしれません。