スポーツ少年団では、サッカーや野球、バスケットボール、バレーボールなどたくさんの競技が登録されており、今や子供達にとってスポーツは身近なものとなりました。
子供達が団体競技を続けていく中で、レギュラー争いや子供同士の揉め事などはよくある話だし、それも成長のひとつかなとも思います。
ただ、別の部分で問題視されているのが「温度差が招く親同士のトラブル」です。
子供がするスポーツに熱心な親がいれば、そうでない親もいて、その温度差には大きな開きがあります。
特に熱心な親達はそうでない親に不満を抱き、その不満がトラブルになるケースもあるし、子供のスポーツ指導にまで口を挟んで指導者を困らせる保護者の方もいらっしゃいます。
今回は読者の方から寄せられた 「親同士の温度差から生まれたスポ少トラブル問題」についてお伝えしたいと思います。
親同士の温度差がトラブルになる原因とは
現在私はメンタルトレーナーとしてスポーツ少年団に所属する子供達のメンタルケアに携わっておりますが、私にも息子がおり、昔は保護者としてバスケットボールをする息子達を応援していました。
その両方の立場から見ても、スポ少で親同士が起こすトラブルは子供に全く良い影響を与えませんし、正直言うとうんざりすることも多くありました。
子供のスポーツに熱心な親もいれば、そうでない親もいる。そのこと自体はどうしようもないし、仕方のないことだと思います。
では、なぜそれがトラブルになるのか…。
多くの場合が、熱心な親はそうでない親に「何にも手伝ってくれない」「私たちに任せっきり」「スポ少は託児所じゃない」などの不満を持ち、熱心でない親は熱心な親に「私はそんな暇じゃないのよ」「たかが子供のするスポーツにそこまで熱くなれないわ」「プロになれるわけでもないし」と見下した態度をしたり…。
それではお互いに良い関係なんてつくれるはずもなく、それはチームの雰囲気まで悪くしてしまうことがあります。
私は熱心に応援するお母さん達はとても素敵なママだと思うし、そうでないお母さんもお家で子供達の話を熱心に聞いてくれればそれで良いと思っています。
ただ、考え方は人それぞれだし、自分と価値観が違うからと相手のことをバカにしたり、子供の夢を軽く考えることだけはあってはいけないことだと思います。
毎年開かれる保護者会でいつも同じお話をさせていただきますが、スポ少は子供のためのもので親のためではありません。親の都合や感情で子供の成長を育む環境を悪いものにしないでもらいたいと切に願います。
本当にあった!親の温度差が生んだトラブルやイジメについて
次は実際にあった親同士のトラブルについてご紹介したいと思います。
スポーツカーに乗る夫婦へクレーム
これはあるサッカーチームでのお話です。
そのチームは小学6年生が3名、小学5年生が10名、それ以下の下級生が8名の21名の子供達が所属していました。6年生が少ないながらも日々の練習を頑張り、試合でもその成果を発揮し、チームとして実力をどんどん伸ばしていました。
その矢先の出来事です。
6年生キャプテンのお母さんが保護者会長を務めていたのですが、スポーツカーに乗る6年生保護者にクレームを出したのです。
車が二人乗りなので、そこのご夫婦は試合が開始する時間にサーっと来ては試合が終わるとサーっと帰る。その繰り返しでした。
もちろん配車もできるわけがなく、保護者会長であるお母さんは常に不満を抱えていました。
そんな時、スポーツカーに乗るご夫婦の子供から「うち、今度車を新しくするんだ~!」と言うのを聞いて、保護者会長はそのご夫婦にワンボックスカーの購入を要求したのです。
すると、ご夫婦は「なんでそんなこと指示されなきゃいけないの?」と反発。
それに対して保護者会長は「子供がスポーツをする時点で、配車する義務があることくらい理解してたでしょ?いつも配車する人が同じだし、配車した人は最初から最後までグラウンドにいないといけないから大変なのよ。あなた達夫婦みたいに好き勝手に帰れないのよ!配車に協力しいないって言うのなら、○○君は自分達で連れて自分達で連れて帰ってよ!何もかも私達に押し付けないでもらいたいわ」とさらに反発しました。
ここまで言ってしまえば、それは修羅場確定で、スポーツカーのお母さんは「はっ?配車代貰っているでしょ?こっちはお金払ってるんだし問題ないでしょ!?それともそれじゃぁ足りないの?それだったらコーチへ私から相談します!」とその場を立ち去ってしまいました。
結局その夫婦は自分達が欲しいと思っていた新車を購入し、保護者会長は事情を聞いたコーチから、ワンボックスカーに乗り換える要求や、○○君だけ別で試合会場まで来るように言うのはあんまりだとお叱りを受けたそうです。
保護者会長はその夫婦を無視するように派閥を作ろうとするし、引退するまでの間に二人の溝が無くなることはもちろんなく、親同士の関係はギスギスしたものでした。
応援席に存在する上座と下座
こちらはバスケットボールを頑張る少年のお母さんからお寄せいただいたお話です。
私の息子は小学4年生の時から地元のスポ少でバスケをしていましたが、小学5年生の時に主人の仕事の都合で転校し、チームも移ることになりました。以前いたチームは和気あいあいとしていて、試合に勝とうが負けようが雰囲気が悪くなることはありませんでした。
でも今回入部したチームは練習からピリピリしていて、私はとてもじゃないけれどその場になごむことができませんでした。
なので私は試合の時だけ子供の姿を見に行くようになりました。お母さん達の会話にも入れず独りぼっちでしたが、息子の試合を見るのは楽しかったので気にもなりませんでした。
その日も試合が始まる時間になったので、私はいつものようにビデオを片手にベンチへ座りました。すると隣のお母さん達がすごくこそこそ話しているのが分かりました。
私は気にしないようにしていたのですが、「あり得ないわよね~、しかもあの人5年の親でしょ?」「自分の子が試合で使われているからって調子に乗ってるんじゃない?」「ってか、超邪魔~」と私のことを言っているのはすぐに分かりました。
その試合では聞こえないふりをして我慢をしていたのですが、試合が終わってあるお母さんが教えてくれました。私が座っていた席はキャプテンの親が座る席らしいのです。
暗黙の了解で、真ん中側に並べられている席が上座で、そこから端にいくほど下座なんだとか・・・。
それがこのチームの暗黙の了解らしいです。
それからは無視されたり、ビデオを撮影する邪魔をされたりと、本当に不愉快な思いをしましたが、私が相手にしなかったので向こうも飽きたみたいで、今では陰湿ないじめもなくなりました。
スポーツ指導をする熱血ママ
私の娘はスポ少でバスケットボールをしているのですが、娘の所属するチームにはとても熱心なお母さんがいらっしゃいます。
試合はもちろんのこと、練習にも欠かさず見学に来ては子供達へ指導だと思えるような声かけをしています。
「いやいや、ここは〇〇ちゃんを使うとこじゃないでしょ!」「ほらほら!そこはシュートでしょ!」「違う、こうよ!こうやって構えてみて!」「〇〇ちゃん下がって!」「〇〇ちゃん、パスして!パス!」など、自分が経験者だからか居ても立っても居られないようで、体育館のステージから子供達へ指示を出しています。
もちろんコーチはそのことをよく思ってなく、何度がそのお母さんには注意をしたようですが、全く改善されずの状態で、私の娘も「私はあのお母さんに習いに行っているわけじゃない!」と言い出す始末です。
私はそのことを違うママに相談したのですが、その相談相手を間違えてしまったようで、私はその翌日から熱心なママから無視されるようになりました。
試合に出ない子に与えられる当番
本当に変なルールだなと思うのですが、私の娘が所属するスポ少のチームは、レギュラーになれない子が試合中に子供達が使用した氷嚢やお絞りタオルを持って帰って、次の試合の時に氷嚢に氷を入れて、お絞りタオルは洗って凍らせて持ってこないといけません。
それは親が暗黙のルールとして子供達にそうさせているらしいのですが…。
これらって全て試合に出てる子供達が使うのに、なんで試合に出てない子供達が順番で持って帰るというルールがあるのか理解に苦しみます。
親からの差し入れも一番先に手に取るのはレギュラーの子供達だし、練習で使用したビブスを持って帰って洗濯するのも2軍と呼ばれる子供達で、試合に出る選手とそうでない選手の格差はあからさまです。
そうなれば、親も当然のように試合に出る子の親が偉いみたいな態度になり、自然に格差が生まれている感じです。
子供が楽しそうにしているので、もちろん辞める気はありませんが、正直見ていて辛いし、とても不愉快です。
過去の自分に教えてあげたい「スポ少での失敗談」
次は、過去に自分がした行動に対して後悔しているという保護者の方のお話です。
人をバカにしたら自分に返ってきた
息子は小学校3年~6年の卒団までバスケットボールをしていました。
練習へは必ず見学へ行っていましたし、週末の試合には必ず応援へ行っていました。保護者やコーチとも仲良くやってバスケットが生活の大半を占めてるような毎日でそれは私なりに充実した日々でした。
そして何より息子は運動神経が良かったので、私には自慢そのものでした。入部当初から希望の星だとおだてられかなり調子に乗っていました。
一緒に入部した子はあまり運動が得意ではなく、息子との能力の差は明らかでした。
そしてそんな子供達を息子と一緒になって「あれじゃ卒団するまで試合に出れないんじゃない?」「あれで楽しいのかね?」などバカにするようなことを言うこともありました。
更には応援に来ない親へ嫌味を言ったり、役員や指導者に意見して衝突してしまうことも…。
それでも一緒に楽しく過ごしてくれるママ達がいたので、それなりに楽しくやっていたのですが、息子がチームメイトと衝突するようになって、練習に身が入らなくなり、ついにはベストメンバーから外されるようになってしまいました。
そして私は、周りの親が自分に対して陰口を言っている気がして、自ら距離を置くようになって体育館へ行くことが苦痛になってしまいました。
そして私の何よりの後悔は、それが自分の子供に悪影響を及ぼしてしまったということです。
今さら後悔してもあの時の時間を取り戻すことはできませんが、中学では気持ちを切り替えて一から息子と頑張りたいなと思っています。
子供を応援するうえで大切なこと
大人同士のトラブルは、お互いを思いやる気持ちや尊重する気持ちがあれば、大概のことは防げるものです。
以下のようなことに注意すれば親同士のトラブルはかなり少なくなるのではないでしょうか。
- スポーツをしているのは親ではなく子供だという心構え
- スポ少は保護者の悪口を言い合ったりする場所ではない
- 子供の采配と親の立場は無関係
- 子供の夢や目標をバカにしたり軽く考えてはならない
- 親は子供達を公平な目で見ること
まとめ
今回は「スポ少では親の温度差がトラブルを起こす|知っておきたいスポ少事情」ついてお伝えしましたがいかがでしたでしょうか。
子供がスポーツをしていくうえで親がしてはいけないことっていくつかありますが、その中には親同士の付き合い方もその一つです。
無理に仲良くなる必要はありませんが、少なくとも派閥があったりいがみ合いがあるチームよりも、親同士が仲良く和気藹々としている方があなた自身も子供達もより楽しくスポーツができることは間違えありません。