指導者や親が子供を育てる中で一番大切なスキルとは何か

親子

メンタルトレーナーの葉月です。

今回のテーマは少し大きなものになりますが 「子供を育てる中で一番大切なスキルとは何か」について考えていきたいと思います。

コーチや保護者の方が、いかに子供達の「より良い成長」を望んでいるかは私もよく存じているつもりですし、私自身も子供が成長していく姿を見れることに幸せを感じる日々であります。

特に熱心な方は、教育論やコーチング論などが書かれている書籍やネット記事を読んで勉強されていますし、試行錯誤しながら子供に寄り添う姿勢は尊敬に値します。

しかし、それらに書かれてあることをそのまま実行しても、上手くいかないと感じている方は多いですし、結局は「何が正しくて、何が間違いなのか分からなくなってきた」という相談者さんも多くいらっしゃいます。

その「上手くいかない原因」は明らかで、一番大切にしなければならないスキルが欠如しているからです。

今回はその「一番大切なスキル」に関してお話ししてきたいと思いますので、最後までお付き合いいただければと思います。

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子供の気持ちを理解していますか?

頭を抱える女子

子供を育てる中で大切なことは「しっかり向かい合うこと」だと思っています。

子供が今、何を楽しんでいて、何に夢中になっていて、何に努力をしていて、何に苦しんでいて、何と戦っているのか…。

そのことを大人が理解しないで、一方的に「希望」や「期待」を子供へ押し付けることは良くありませんし、何より効率的ではありません。

いくら質の良いメンタルトレーニングを行っても、結果として現れませんし、時としてそのことが「親と子供」「指導者と選手」を苦しめてしまうこともあります。

冒頭でも、「上手くいかない原因」は明らかで、一番大切にしなければならないスキルが欠如しているからとお伝えしましたが、そのスキルとは「聞く力」です。

意外とできていない「聞く」という行動

私たちは子供の時からこの「人の話を聞く」という当たり前のことを行っていますが、当たり前すぎて大切な場面でないがしろにされていることがあります。

特に「親と子供」「教師と生徒」「指導者と選手」「上司と部下」などの関係で起こりがちで、話を聞く側はきちんとと話を聞いているつもりでも、話す側は「やっぱり自分のことを理解してくれない」「自分の話を最後まで聞いてくれない」と思っているケースは非常に多く、このことが弊害となって成果をあげられないことが多くあります。

大人は「そんなことない!」「私はきちんと話を聞いている」と反論される方もいるかと思いますが、よく思い出してください。

子供が話をしている途中で「それって〇〇だからじゃないの?」「結局はどうしたいの?」「そんな勝手な言い分通らないわよ」などと話を遮ってしまうことは100%ないと言い切れますか?

子供が自分の気持ちを上手く表現できず言葉に詰まった時、結果を求めて「〇〇を頑張ればいいんじゃない?」「〇〇だと思っているんじゃない?」「本当は〇〇がしたいんでしょ?」と誘導してしまうことはありませんか?

大人の希望が憶測となって、そのまま子供に押し付けてしまえば、子供の話を最後まで聞いてあげていることにはなりませんし、本当に相手の気持ちを知りたいと思うのであれば、きちんと最後まで話を聞いてあげるべきなのです。

会話=聞く力

子供の気持ちを理解するには「会話」が必要で、会話とは「向かい合って話をする」ことを意味します。

つまり、大人たちが伝えたいことを全て話しているうちは、自分の気持ちを一方的に子供へ伝えているだけで、会話をしているとは言えないということです。

私がカウンセリングを行う際も「この人は相手の話をきちんと聞ける人だな」「この人は相手の話を聞いているようで最後まで聞くことができない人だな」のタイプにはっきり分かれます。

そして遥かに後者のタイプの方が多いです。

学校の先生なんかは前者のタイプが多いなと感じますし、やはり色々な子供達と接しているからこそ「聞く力」の大切さを身に染みて感じているんだろうなって思います。

逆に後者のタイプの方は、私が話している途中にで「でも…」とか「だって…」とか会話をしようとしない大人が目立ちますし、全く違う質問を投げかけてくる方もいらっしゃいます。

もちろんそのことから、私も多くのことを学びました。このようにならないためのカウンセリング法を考えるきっかけになりましたし、そのことでさらに「聞く力」の重要性を学ぶことにもなりました。

部活を辞めたい子供と続けさせたい親の話

中学校でバスケットボールをしている女子部員が、ある日「部活を辞めたいと」言ってきました。その理由は「勉強をする時間がないから」というものでした。

私は顧問にお願いされ、その女子部員のカウンセリングを行ったのですが、その女子部員は「これからの自分」としっかり向かい合って決断したんだということが分かったため、私はそのことを顧問へ報告し、退部の方向で話を進めていました。

すると、その子のお母さんから「お願いです。娘を説得してくれませんか?部活をしながらでも勉強はできると思うし、せっかく今まで頑張ってきたのに、これでは高校入試が不利になってしまいます。」との連絡をいただき、お母さんの強い希望で、女子部員・親・私で話をする場をつくりました。

葉月「どう?この間から数日経ったけど、辞めたいっていう気持ちに変化は何かあった?」

娘「いえ、全くないです。私は高校でバスケをしている自分が想像つかないんです。それよりも弁護士になるための勉強をしたいし、今の時間を無駄にしたくないんです。だから部活を辞めたいって思いは変わりません。」

母「部活を頑張ることのどこが無駄なの?勉強との両立だって今までしてきたじゃない?」

娘「お母さんが頑張ってたわけじゃないじゃん?だから私の辛さとか分かんないでしょ?」

母「何を甘えたこと言っての?ユキちゃんなんて部活しながら学年で5位以内にいつもいるって話じゃない?」

娘「だから何?私とユキは違う…。」

そう言ってこの子は会話をすることを止めてしまい、その後はお母さんが一方的に自分の思いを伝えるための時間になってしまいました。

最終的には、私がこの子の気持ちを聞き出して、お母さんにも納得していただいたのですが、親子でこのような言葉のやりとりは珍しいことではありません。

このような言葉のやりとりはお互いにマイナスにしか作用しませんし、親は子供の気持ちを100%聞いてあげなければ、本当に子供が望んでいることを理解することは難しいでしょう。