こんにちは、メンタルトレーナーの葉月です。
目標を掲げた時は十分なやる気があっても、その目標自体が曖昧なものになってしまったり、途中で投げ出されるといったことがあります。
それはやる気や集中力の低下からであったり、達成するのは無理かもしれないという諦めからであったりと理由は様々でしょう。
子供達がせっかくやる気を出しても、いつの間にか曖昧になってしまうことはとても残念で勿体ないことです。
そこで今回は 「子供達のやる気と集中力を高めるのに効果的なルーティン」についてお伝えしたいと思います。
ルーティンとは?
ルーティンとは「決められた一連の動き」「決められた一連の動作」のことをさし、 毎回同じ行動をすることで安定したパフォーマンスを発揮し、物事に集中できると考えられています。
ルーティンといえば、野球のイチロー選手を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?
画像引用元:https://baseballking.jp/
「バットをぐるぐる回す」「ユニフォームの袖をつまむ」「バットを目の前に立てる」など、頭の中に思い浮かべたら特徴のある動作がいくつか出てくると思います。
試合前の長いストレッチや、試合後の入念なマッサージなどから「ルーティン・マニア」と呼ばれるイチロー選手。
試合が終わるとすぐにスパイクを磨き、自宅に帰ればピラティス用のマシンを使って体のバランスを整えた後に夕食をとります。そして夕食後はもう一度マシンを使い、寝る前に2時間のマッサージを行う。
イチロー選手の「朝カレー」は有名なお話しですが、彼の一日はルーティンで始まりルーティンで終わると言っても過言ではありません。
試合中はメンタルが乱れる原因がたくさん
画像引用元:https://www.j-cast.com/
ラグビー日本代表のキッカー五郎丸選手がキックの前にとるポーズが、たくさんのメディアで取り上げられ、話題となりましたが、これも五郎丸選手の「ルーティン」です。
五郎丸選手はキック前の後ろに下がる本数、左にずれる本数、キックまでの本数、キックまでの時間が一定だということも有名です。
五郎丸選手も「ルーティン」を取り入れるまでは、好不調の波が非常に激しかったそうです。
それはスポーツ少年団や学校の部活動でスポーツをする子供達にも同じことが言えます。
特に試合中は「指導者の声」「失点」「ミス」「タイム」「相手チームのパフォーマンス」など選手である子供達がメンタルを乱してしまう原因はたくさん転がっています。
たとえ子供達がどんなに気合を入れて挑もうが、どんなに競技能力を磨こうが、何事に対しても動揺せず集中力を保つということは至難の技です。
競技能力を高めるには日々の努力ですが、集中力は努力だけで身につくものではありません。
そこで効果を発揮してくれるのが「ルーティン」です。
ここぞという場面でいかに平常心を保てるかは、結果に大きく影響すると言ってもいいでしょう。
ミスをした時のルーティン
試合中に1度ミスをしてしまうと、その後もミスを連発してしまうということがあります。
その際に「今日は調子が悪かった」という一言で終わらせていませんか?
それは調子が悪かったのではなく、ミスに対して何も対処しなかったために「今日は調子が悪かった」という後付の理由が生まれたに過ぎません。
そして同じような場面になった時に「また、ミスをしたらどうしよう」と余計な考えを抱いてしまい、さらにミスが続くのです。
ミスがさらなるミスを生む、それは「失敗の無限ループ」です。
これは体操選手の話ですが、鉄棒から落ちた時、選手はもう1度手に粉をつけます。そしてもぅ1度「競技の最初」をイメージするそうです。
それは本番で 「最初から」をイメージすることで、何度もミスを繰り返さないというものです。
ミスをした後にいつも行っている行動「ルーティン」をひとつ取り入れることで、脳内の情報を整理し、気持ちをリセットさせるというわけです。
もしも試合中にミスをしてしまったら、ゆっくりと深呼吸をして、自分のポジショニングを確認し「これをやれば大丈夫」と思えるルーティンの行動をしてみましょう。
私がメンタルトレーナーとして携わっている男子バスケットボール部の子供でメンタルがとても乱れやすい選手がいたのですが、彼はルーティンとして「屈伸をする」と取り入れ、それから以前よりも平常心を保てるようになりました。
トップアスリートが実際に行っているルーティン
サッカー選手 本田圭佑
試合前にはイメージトレーニングを行う
サッカー選手 クリスティアーノ・ロナウド
フリーキックを蹴る前は、5歩下がって仁王立ちをして集中力を高める
陸上競技選手 ウサイン・ボルト
- レース直前は、人差し指を口元にあて、キリストを敬う十字架のポーズをする
- レース後に弓を引くようなポーズをする
プロ野球選手 松田宣浩
ヤフオクドームの試合前は、ハニーズが踊っている時間にミラールームへ行って、腹筋、ストレッチ、そしてボールを打つ
NBA選手 ステファン・カリー
試合前には「ドリブル」「ハンドリング」「シュート」主にこの3つを徹底的に確認する
フィギュア スケート選手 浅田真央
リンクには必ず左足から入る
目標に対するルーティンの効果
次はモチベーション(やる気)を保つための 「目標や課題に対するルーティン」についてお話をしたいと思います。
子供が「早朝練習を毎日30分する」という目標を持つとします。
数日間はモチベーションを保つことができても、同じモチベーションで持続的に続けていくのは難しかったりすることもあるでしょう。
もしも数日たって朝練に行きたくなくなってしまった場合は、途中で練習をやめても構わないので、とりあえず練習場までは行くことが大切です。
行ってしまえば意外と途中で帰ることなく練習できるものです。
このような経験を1度でもしておけば、自分の挫折パターンが分かりますし、乗り越えたことで今までの自分とは違う成長の「突破口」を見つけられます。
もし布団の中でどうしてもきつい時は「起きて顔を洗う」とハードルを下げてもいいのです。
朝練に行くということは、まず「早起きをする」という目標をクリアしなくてはいけません。
しかし寒い時期になれば誰でも布団から出るのが億劫になるものです。
それでも「朝起きたら顔を洗う」というルーティンを取り入れることによって、目標は「早起きをする」から「起きたら顔を洗う」に変わります。
行動自体は簡単なことですが、顔を洗って気分がスッキリし、自分の目標が明確であれば「よし、朝練に行こう」という気になれるものです。
このように、単純ではありますが毎日の生活にルーティンを取り入れることによってモチベーションを保てることが可能になります。
まとめ
今回は「子供達のやる気と集中力を高めるルーティン」についてお伝えしましたがいかがでしたでしょうか。
スポーツをする子供達にとって「諦めない心」や「折れない心」を保つことは、競技能力を高めることよりも容易なことではないかもしれません。
しかしそれは「正しいやり方を知らない」ただそれだけなのです。
技術面に関してはコーチから指導してもらえるし、何をどうしら結果を出せるのかが比較的分かりやすいですが、メンタルを整えることは目に見えることではないため、子供達が理解するには時間を要することかもしれませんし、周りにいる大人の理解も必要になります。
まずは比較的行いやすいルーティンとして「ミスをしたら靴ひもを結びなおす」「試合前には良い試合の流れをイメージしてみる」「試合前にはストレッチをする」「コートに入ったらまずは深呼吸をする」などから始めてみるといいかもしれません。