こんにちは、メンタルトレーナーの葉月です。
子供達がスポーツをしていて、ぶつかる壁の一つに「コーチの采配」があります。
応援している親御さんも、実際にプレーをする子供達も、試合に勝ちたいことはもちろんのこと、 その第一線で活躍したいと願うことは当然だと思います。
しかし、レギュラーになれないのならスポーツを続ける意味がないのかと聞かれればそれは違います。
今回は、息子さんがバスケットボールをしている保護者の方から「子供がベスメンに入れず辛い」という相談メールをいただきましたので、それをもとに「コーチの采配」について考えていきたいと思います。
子供がコーチの采配に不満を抱いています。たまさんよりご相談
息子は小学4年生から地元のスポ少(バスケットボール)に入団しました。
入部した頃は「上級生のお兄さん達みたいに上手になりたい!」「僕も早く試合に出れるように頑張る」と、意欲的に練習に取り組んでおり、親としてはそんな子供の頑張る姿を見れることがとても幸せでした。
そして息子は現在最上級生になりましたが、自分の満足する評価をコーチからもらうことができず、最近ではモチベーションが低下して十分なやる気も息子からは感じられないようになりました。
試合に行っても息子の出番は1クウォーターのみで3,4に出れることはほぼありません。
そのため試合が終わって帰宅すれば、息子はコーチの不満をもらします。
息子の不満とは
- あいつより俺の方が上手いじゃん!
- 〇〇は俺の方が上手いって言ってるよ。
- コーチは俺が嫌いなんだよ、あいつばっかりひいきして。
- こんなじゃ強くなれるわけがないし。
などのような事で、私も息子と同じ意見なので一緒になってコーチに対する不満を言っているのですが、すると主人からは「そんなんだから強くなれないんだよ!」と心無い言葉を投げられます。
でも私としては、小学生がするスポーツは勝つことよりも大切なものってあると思うんです。もう少し平等に色んな選手を出してほしいし、もっと楽しめる環境を作ってほしいって思います。
もちろんそれは試合に限ったことではありません。練習メニューはいつもベスメン5人中心だし、見ていると5人のための練習みたいで、それ以外の選手はその練習相手みたいなところがあって、それではこの5人が強くなるばかりだし、その他の子供達はモチベーションが下がる一方です。
コーチに子供のやる気を削がないために、もう少し試合に出してほしいと相談してみようか迷っています。
それっておかしなことでしょうか?葉月さん、よろしければアドバイスよろしくお願いします。
スポーツをする意義とは
たまさん、はじめまして。息子さんが試合にあまり出られないといった辛さはよく分かります。
せっかく頑張っているんだし、応援するお母さんとしてはお子さんの活躍をもっと見たいですよね。
私もスポーツをする目的とは、決して勝つことだけではないと思います。
スポーツを通して、仲間と信頼関係を築き、折れない心を育て、創造力や自主性を身につけることはとても大切ですし、目の前のスポーツが好きで意欲的を持って取り組んだり、夢や目標に向かって進んで行くことは素晴らしいことだと思います。
しかし、いくら小学生でも最終的なチーム目標はやはり結果を残すことだし、それはどこのチームでも同じことだと思います。
コーチはそのための采配を考えているわけですし、それは保護者の方が意見を言うところではないというのが私の考えです。
それに、お子さんと一緒にコーチの不満を言うことはあまり望ましいことではありません。
「お子さんの意見に同調してあげたい」というたまさんのお気持ちも分かりますが、不平不満を抱くことはお子さんにとってメリットとなる事が何一つありません。
不満からは何一つ解決方法が見えないし、お子さんの成長を妨げることになってしまうということです。
不調な時期にやってはいけない行動
スポーツだけに限らず、人が何かに取り組んでいると、才能の差に関係なく「良い時期」と「悪い時期」が訪れます。
そして悪い時期に絶対にやってはいけないことは、不平不満を抱いたり、不貞腐れて意欲を失くしてしまうことです。
不満を抱いたり、不貞腐れた振る舞いをする人は、自分で立ち向かうこともできなければ、周りの人から「大切なものを学ぶ機会」を失ってしまいます。
周囲から見ても、明らかに頑張っている人や前向きに取り組んでいる人には、手を差し伸べたいと思いますし、「応援したい!」という気になりませんか?
もちろん頑張っても頑張っても上手くいかないときは、「この不調がずっと続いてしまうんじゃないか」「自分にはこれが限界なのか」と悲観的になって、不安になったり、イライラしてしまうこともあるかと思います。
しかしそれは人が「心」が持つゆえに起きてしまう「心の問題」で、誰にでも起こりうることなのです。だからこそ、周りにいる大人達は、その問題に対してサポートしてあげる必要があります。
コーチが考える采配とは
スポ少に所属する子供達には
- 最終目標は全国大会!
- ベスメンの座は絶対に譲らない
- 将来はプロを目指したい
- 試合には出ても出れなくてもどっちでもいい
- コーチに怒られたくないからできないことは挑戦しない
など思いは様々で、スポーツに対する前向きな姿勢、やる気には温度差があったりします。
それはコーチにも同じことが言え、自分が持つ信念やポリシーは人それぞれで、中には能力に関係なく平等に子供達を試合に出すというコーチもいるのかもしれません。
しかし、試合は相手あってのこと。どのチームも公式戦で勝つために練習や練習試合をこなしているのです。
練習試合の相手チームが強ければ強いほど、こちらもそれなりに能力のある選手で戦わなければ、相手チームの練習にもならないし、真剣にしているのだから、こちらも同じようにするのが筋だという考えの元で指導を行なっているコーチもたくさんおられます。
大変厳しいことを言うようですが、息子さんがベスメンに入る一番の近道は、たまさんがコーチへ采配の見直しをお願いするよりも、 するべき努力をして子供自身の競技能力を上げることではないかと考えます。
もちろん、スポーツ指導する者は、全ての選手において「公平」である事が必要だと思いますが、全てを「平等」に扱うことは難しいと思います。
子供の自尊心が低下してしまったら
もちろん指導者は選手である子供達が意欲的に取り組めるよう、子供達の精神状態まで把握しながら指導を行なって行くことが理想ですし、子供達に「ひいき」だと感じさせたり「コーチは自分が嫌いなんじゃないだろうか」と思わせるようなことはあってはならないと思います。
子供達が自尊心を低下させてしまえば、周りの評価を必要以上に気にしたり、周りからの評価に振り回されたりと、メンタルを乱しやすくしてしまいます。
それは「自信の喪失」とも深い関わりがあって、自信を喪失させてしまえば自尊心を保つことはできませんし、何事に対しても意欲を持って取り組むことが難しくなってしまいます。
先日もミニバスの試合である選手が自信なさげに下を向いていたら「自信を持て!」と叫んでいるコーチを見ました。しかし自信の意味を分かっているようで分かっていない子供は多いし、自信のつけ方を理解していない大人も少なくありません。
子供達が自信をつけて意欲的に取り組むには「目標を達成するための準備」「周りからの激励」「安心して挑戦できる環境」「自己肯定感」が必要で、それには親のサポートも欠かせません。
不満は努力で発散する
人は物事が上手くいかなかった時・・・
- 誰かに責任転嫁して自分を正当化させる人
- 上手くいかないのは自分の能力がないからと諦めてしまう人
- 上手くいかない原因を考え努力を惜しまない人
主に3つのパターンに分かれると思います。
子供がベスメンに選ばれないことに関して、お子さんの全てが否定された気になってしまったり、他の子と比べて何が劣っているのかと考え込んでしまうこともあるかもしれませんが、ここは思考を変えて、子供自信がするべき努力を本当にしているのか、自分の力で前へ進もうとしているのかをよく考えてみてください。
武田信玄の言葉にこのようなものがあります。
「一生懸命だと知恵が出る、中途半端だと愚痴が出る、いい加減だと言い訳が出る」
するべき努力を続け、たとえゆっくりでも、自分には力がついていると実感することができれば、お子さんは未来に希望を持つことができ不満を抱くことが少なくなるはずです。
それに今現在ベスメンに入れていないからといって、今の状態のままミニバスが終わるなんて誰にも分りません。
最終的な秋季大会までにベスメンに入ることができるかもしれませんし、活躍する息子さんを見れるかもしれません。
しかしそれを現実にするためには、息子さんとたまさんが 息子さんの可能性を信じれていることが絶対に必要なのです。
今は辛い時期かもしれませんが、バスケットボールは小学生で終わるわけではありませんし、中学生・高校生の部活動はもっとシビアで厳しくなります。そのため子供達には、自分自身で自分の道を切り開く力を身につける必要があるのです。
周りと比較すると成長を妨げる
人が成長していく中で「向上心」はとても大切です。息子さんのように、今の現状に満足せず、より高いものを目指すことはとても素晴らしいことだと思います。
ただそこに「不平不満」があると、せっかく持っている向上心の邪魔をします。
向上心とは、求めるだけはだめで、そこに努力や邁進する力がなければ向上心とは言えません。
それに周りと比較して不満を抱くということは、目の前に集中できていないというサインです。目の前に集中できていれば、周りのことなど気になりませんし、見えません。
大切なことは、昨日の自分よりも成長していることで、それを自分自信が実感して前へ進んでいるという手応えがあるかどうかです。
前へ進めていないと感じたり、周りに置いて行かれていると感じるから、不安になって不満が出てしまうのだと思います。
その不安をかき消してくれるのは、やはり自分自身の努力ではないかと思います。
ハイパフォーマーの共通点
ハイパフォーマーとは、高い成果を常に出している優秀な人といった意味合いで用いられますが、常に成果を出している人は、その成果に対して行動したり考えている時間が長いという特徴があります。
つまり「結果=実践時間」ということになります。
ただし人はそれを分かっていても、辛いことや苦しいことだと長く続きませんし、途中で諦めたり挫折してしまいますよね。
しかし逆に楽しいことや好きなことに関しては、辛さも忘れて意欲的に取り組む事ができます。
もうお分かりですよね。
そうなんです、成果を出している選手は、そこに楽しさを見出している選手なんです。
しかし、不平不満は楽しさどころか、辛さしか見えてきません。
何か問題が起きた時に原因を自分以外のものに追求してしまうとその全てが不平不満へと繋がってしまいますので、常に自分自身へ原因を追求する癖をつけるようにしましょう。
そうすると自分が行動するべき事が見えてきますし、全ての評価が自分自身なわけですから、前へ進んでいる実感も沸きやすくなるかと思います。
コーチへ聞いてみるのもひとつの方法
しかし、どうしてもコーチの采配に納得がいかず、子供が前へ進めない状態であれば、 子供本人がコーチへ自分が使ってもらえない理由を聞いてみることもひとつの方法です。
親が憶測でコーチの考えを子供に伝えるよりも、実際に采配を決めているコーチへ「これから前向きに取り組めるように教えてください。僕が試合に出れない理由はなんでしょうか?」と素直に聞いた方が、不満を抱きながら練習へ取り組むよりもよっぽどいいです。
その中で自分で納得する理由を見つけることができれば、おのずと自分の弱点や課題を見つけることができるではないでしょうか。
まとめ
今回は「コーチの采配に不満!その時に選手と親が考えるべきこととは」についてお伝えしましたがいかがでしたでしょうか。
子供がスタメンやベスメンから外されたり、レギュラーに入れなかったり、自分の思うようなプレーができなかったり、スポーツをしていればたくさんの挫折を味わうことになります。
しかし、その都度不満を抱いて根本的な課題に背を向けていては、この先の成長を摘んでしまうことになります。
まずは、相手の考えを変えようとするのではなく、自分自身が「最大限の努力をしているのか」を改めて考えてみることも成長するうえでは大切なプロセスなのです。