子供がスポーツでスランプに陥った時、親がして良いこと悪いこと

2016年2月12日ペアレーチング

スランプに陥る子供

こんにちは、メンタルトレーナーの葉月(@w_haduki)です。

スポーツをするうえで「記録の停滞」や「パフォーマンスの伸び悩み」など、一時的に調子が落ちて力を十分に発揮することができない状態を「スランプ」と言いますが、子供がスポーツをする中でスランプに陥ってしまった時に「手助けをしてあげたい」「支えてあげたい」と考える保護者の方も少なくないと思います。

親にとって、子供が苦しんでいる姿を見ることはとても辛いことです。それは同じ親としてとても共感できます。「この子は自力でここから抜け出せるのだろうか」「このままでは辞めたいと言ってくるのではないだろうか」「このことをコーチに相談するべきか」などの「悩み」や「不安」と葛藤することもあるかもしれません。

しかし最終的にスランプを乗り越えるのは子供自身です。

そこで親としてするべきことは、転んでいる子供を抱き起すことでも、「立ち上がりなさい!」と叱咤することでもありません。まずは子供が安心してスポーツに取り組める環境を整えてあげることと、コートやグランドに立つ子供の笑顔を取り戻してあげることではないでしょうか。

今回は「子供がスポーツでスランプに陥った時、親がして良いこと悪いこと」について考えていきたいと思います。

子供にとってのスランプとは

スポーツ スランプ

スランプとは、心身の調子が不安定になって「記録の停滞」「技術の伸び悩み」などが起こることをいいます。

競技キャリアが長く、ある程度の実力を持った選手であれば、一時的に伸びが停滞する時期は誰に起こってもおかしくありません。

試合に対するストレスや大人達からのプレッシャーなど精神的なものが原因となる場合もありますし、成長期における身体の変化がきっかけとなる場合もあります。

特に「ポスト・ゴールデンエイジ」と呼ばれる13歳から15歳の時期は、筋肉や骨格が急速に成長します。

この成長期における「身体の変化」に感覚がついていけずにパフォーマンスの低下を招くことがあり、これを一般的に「クラムジー」といいます。

このように子供達がスランプに陥るきっかけは様々なケースがあるため、そのきっかけに対する対処法が必要となりますので、まずは子供の気持ちや状態をしっかり把握する必要があります。

スランプに陥る原因とは

サッカーをする少年

スポーツをする子供達がスランプへ陥る原因としては主に以下のようなものがあげられます。

  • 目標達成が失敗に終わってしまった時
  • 予想外の敗北
  • 技術面で急激な成長を成し遂げたあと
  • 周囲からのプレッシャー
  • 人間関係(コーチやチームメイト)に対するストレス
  • 練習メニューや練習量の変化
  • 身体の急激な成長

このようにスポーツをする子供達がスランプに陥る原因には様々なことが考えられ、中には心がボロボロになるまで本人さえ気づかないケースもあります。

また身体の急激な成長に脳がついていけず、パフォーマンスが一時的に落ちてしまうという成長期の子供特有のスランプ「クラムジー」もあり、メンタル面のケアだけではカバーできない部分も存在しますし、停滞という意味ではスランプではなく「プラトー」であることも否定できません。

スランプとプラトーの違い

スランプとは競技キャリアが長く、ある程度の能力を持つ選手が陥る一種の混乱状態のことをいい、比較的競技能力が短い選手の「停滞」はプラトーであることがほとんどです。

スポーツを始めてしばらくの間は、初めてのことが多いし、今までできなかったことができるようになるため急激な成長を感じることができます。

しかしある程度のレベルや年齢に達すると「得意なこと」と「苦手なこと」、「好きな練習」と「苦痛な練習」に合わせて、身体的な特徴などから「するべき課題」を避けてしまったり「苦痛で地道な努力」ができなくなってしまうことがあります。

そして子供達はとりあえず「何らかの練習」をやっておけば、努力を怠っていない気になったり、練習をちゃんとやっている気になります。

その結果「頑張っているのに結果がついてこない」「努力をしているのに自己ベストが更新できない」となるわけですが、それがスランプかと聞かれれば、答えは「NO」で、それは「プラトー」に当てはまりますので、自分の苦手を克服する努力を怠らないことが大切になります。

「停滞」という意味では、スランプもプラトーも似ていますが、停滞の原因が「心身の疲労」などであれば「休息」が必要となりますし、プラトーであれば自分の課題ときちんと向きあう必要があり、それぞれに対処法が真逆なため注意が必要です。

スランプへ陥った時の問題点

スポーツでのスランプ

何か物事に取り組んでいるとそれぞれにバイオリズムが存在し、不調な時期と絶好調の時期が訪れるのは当然のことです。

もちろんスランプやクラムジーは永遠に続くものではありませんし、辛くても苦しくても必ずそこから抜け出せる時が訪れます。

ただし、スランプに陥っている時期に間違った思考や行動をしてしまえば「負の無限ループ」に陥ってしまいスランプを長引かせてしまうことも。

たとえば…

  • 結果を出せないことに焦っていつもと違う行動をする
  • 不安や恐怖心からマイナスの考え方しかできなくなってしまう
  • 周りの選手と比較してイライラしたり、劣等感を抱いてしまう
  • 停滞が後退に思えて、今までしたことすらできなくなってしまう

などのように、ネガティブな思考がさらに悪い状態を引き起こし、スランプから中々抜け出せず、パフォーマンスが低下したり怪我をしやすい状態をつくってしまうことがあります。

特にクラムジーの場合は、新しい技術の習得よりも、基本動作の質を高めることに意識した方がいい時期でもありますので、特に焦りが禁物となります。

子供のメンタルに大切なもの

スポーツをする子供

スポーツをしていると「楽しいこと」「嬉しいこと」「辛いこと」などたくさんの経験をしますし、それがスポーツをする醍醐味だとも思います。

ただ子供達はプロのアスリートではありません。この先の夢が「プロ野球選手」だろうと、プロ野球選手がしていることをジュニア世代の子供達が真似をしてもそれが全て結果につながるとは限りませんし、むしろマイナスに作用してしまうケースもあります。

子供達に「自主練しなさい」「目標を立てなさい」「意欲を持ちなさい」「挑戦しなさい」「強い心を持ちなさい」と伝えるのは簡単ですし、教科書通りにメンタルトレーニングをさせることも簡単です。

そして、一生懸命メンタルトレーニングを教えたお母さんが「全然効果が出ない。うちの子は全然ダメだわ!」となってしまうケースも珍しくありません。

私がメンタルトレーナーとして携わっているミニバスケットボールチームのお母さんにも「うちの子には意欲がない」「うちの子には積極性がない」と嘆く方がいるのですが、そこにある多くの原因が「土台作りができていない」ということです。

もっと分かりやすく「組体操のピラミッド」でお話しましょう。

組体操 ピラミッド

私が子供の時は運動会や体育祭の組体操で「人間ピラミッド」が当たり前のようにありましたが、今は怪我や事故などが原因で行っていない学校も増えしました。

この「人間ピラミッド」を子供のメンタルで例えたいと思います。

一般的に一番上に立つ子供は体重が軽くて体幹がしっかりしている子が選ばれますよね。そして一番下は比較的に身体が大きくて力のある子が選ばれます。

しかし下段の子供達が「オスグッド」などで膝に痛みを抱えていたり、手を骨折していたらどうでしょうか?

上から押し寄せる重みと自分自身の痛みに耐えきれずプラミッドは一瞬で崩れてしまいますよね。

子供のメンタルもこれと同じで、土台が健全な状態でないと崩れてしまうのです。

では、その健全とは何を意味さすのかって話ですが、それは心の「安心」と「安定」になります。

1段目に「安心」や「安定」、2段目に「目標」や「夢」、3段目に「やる気」や「負けん気」、そしてトップに「挑戦」や「実行」というように並んでいきます。

つまり、心の中に「安心」がなければ「やる気」や「挑戦」につないでいけないし、子供の中に「失敗に対する不安」や「怒られることに対する不安」などがあれば、メンタルピラミッドは崩れてしまうということです。

少し前置きが長くなってしまいましたが、次に今までの話を踏まえて、本題の「スランプの子供にしてあげられること」についてお話ししたいと思います。

2016年2月12日ペアレーチング

Posted by 葉月 愛