こんにちは、メンタルトレーナーの葉月です。
今回のテーマは 「子供の自信」についてです。
自信とは自分の能力や価値を信じることで、それは自分自身を信頼することにも値し、勉強をしていくうえでも、スポーツや習い事をしていくうえでも、子供達に「自信」をつけさせることはとても大切なことです。
自信をつけることができれば、常にポジティブな考え方ができるようになり、色々なことに挑戦したいという気持ちから「やる気」や「向上心」を高めることができます。
ただスポーツには勝ち負けが存在しますので、試合で負けたり、失敗が続くと自分の能力に限界を感じて自信を喪失してしまうことも多くあります。
しかしまずは大人達が思考を変えることで、たとえ負けの試合からでも、失敗したことからでも、子供達の自信を高めることは可能ですし、それは決して難しい方法でもありません。
今回は 「スポーツをする子供の自信を高める親とそうでない親の言葉かけ」についてお伝えしたいと思いますので、最後までお付き合いいただければと思います。
自信がつくまでの経過
スポーツをする子供達に自信をつけさせる最大の目的は「試合に対する自信」をつけさせることだと思います。
子供達は、親から「自信を持って!あなたなら大丈夫よ!」と言われ、コーチからは「自信を持て!お前ならやれる!」と指導され、子供達は「自信だ、自信。俺はやれる!俺は強い!」と自分に言い聞かせる。
この一連の流れは決して悪いことではありませんが、この言葉かけだけでは不十分だといえます。
子供達にとって試合に勝つことが何よりの自信となりますが、それまでには「十分に実力を発揮した自分」「目標を達成した自分」が必要で、その達成には「能力」「体力」だけでなく「メンタル面」での自信が必要になり、さらにそれらを得るためには、健全な体と心が重要になります。
子供達にとって健全な体と心とは?
スポーツをする子供達にとって健全な体とは「睡眠」「食事」「休養」がしっかりとれている状態のことを意味します。
たとえば睡眠不足は集中力の低下を招いてパフォーマンスを低下させてしまいますし、しっかり栄養を摂って体を休めて疲労回復しておかなければ、やる気は十分でも体がついてこれなくなってしまいます。
そして健全な心とは「不安」「恐れ」「絶望」などがなく、安心してプレーに挑める状態を意味します。
たとえば大人達は子供達へ「挑戦しろ!」と言っておきながら、失敗すれば「何やってんだ!」と責める言葉をはく。これでは子供達は挑戦することへ「不安」を覚えますし、大人達が「負け=失敗」と捉えれ、その失敗に対して罰を与えたり責めるようなことを言えば「恐れ」を抱くようになります。
このような状態では、自信をつけさせるための環境が整っているとは言えないでしょう。
努力や達成感の積み重ねが自信に
希望を持って努力することはとても素晴らしいことですが「必ずしも良い結果がついてくるわけではない」というのが現実です。
その度に壁へぶつかったり、敗北感で頭を支配されたり、希望の光が閉ざされたと感じてしまったり、私達の人生には当たり前のように起こりうることです。
その中で子供達が自信を喪失させないようにするには、試合に負けても自信につながるようなプレーをすることが大切です。
そこで有効な方法が「目標設定」です。
試合に挑む時はもちろん勝つことを目的として挑むわけですが、それと同時に「プレーに対する目標」を設定させてみましょう。
そして試合に負けても子供が設定した目標をクリアできれば「成功」として認めてあげましょう。もしも失敗してしまっても「挑戦した勇気」を認めてあげましょう。
たとえ小さくても、このような成功の積み重ねが子供達の自信を高めてくれます。
POINT目標を設定する時は「〜しない」ではなく「〜する」という目標にしましょう。
「〜しない」では評価が曖昧になりますし、「〜する」の方が結果として目標を達成しやすくなります。
行動で思考を変える
これまで自信をつけさせるための準備や思考についてお伝えしましたが、これらの準備をしっかり行なっていても、スポーツをしていくうえで「不調な時期」がくることは避けられません。
どんなに能力の高い選手でもバイオリズムがありますし、どうしようもない喪失感を抱いてしまう時もあるでしょう。
そんな時に有効なのは、無理やり考え方を切り替えさせるのはなく、行動を変えて自信をつけさせましょう。
たとえば子供が自信を失って下を向いていたら「自信を持ちなさい」ではなく「上を向こう!」と伝え、猫背になっていたら「胸を張ろう!」と伝えてみましょう。
思考と行動はリンクしていますから、自信がある時の行動をすることで、本当に自信があるように思えてきたりすることがあります。
その他には「大股で歩く」「ボールを強く打つ」「大きな声を出す」なども有効な行動です。
子供の自信と親の関わり方
これまでは子供自身が行うトレーニング法をご紹介しましたが、次はお父さんやお母さんのためのメンタルトレーニングです。
ジュニア世代のスポーツでは親の言動が良くも悪くもパフォーマンスそのもに大きな影響を与えます。
そこで「子供の自信をつけさせる親の関わり方」についてお伝えしたいと思います。
兄弟や同級生と比べない
お父さんやお母さんは悪意なく、周囲に存在する子供達と自分の子供を比べて評価してしまうことがあります。
年の近い従妹や兄弟、幼稚園や小学校の同級生、同じクラブチームに所属している選手など、子供達が周りの子と比較される場面は様々です。
その中でも子供達が一番辛い思いをするのは、「兄弟」「姉妹」で比べられるケースでしょう。
「お兄ちゃんはちゃんとできたのに、どうしてあなたはできないの?」「あなたよりも妹のほうがしっかりしているじゃない」「お姉ちゃんはお利口さんなのに・・・」子供達にとってこのような言葉は辛いものでしかありません。
お父さんやお母さんは、子供の成長を願う気持ちから、このような言葉を掛けているのかもしれませんが、これでは全くの逆効果です。
子供達の自尊心はどんどん削られ、「どうせ僕なんて」「どうせ私なんて」と自己否定感を強く抱いてしまいます。
子供達はみんな違って当たり前
周りの子と比べられて辛い思いをするのは子供だけではありません。
同時にお父さんやお母さん自身も苦しめることになるのです。
自分の子供と他人を比べてしまう時、その多くは劣っている部分ばかりが気になってしまうものです。
「○○ちゃんは成績もいいし、スポーツも頑張っている。それに比べてうちの子は…」
「○○君には素晴らしい素質と才能がある。なのに、うちの子は何をやっても中途半端…」
などのような不満は、子供達がせっかく持っている長所やポテンシャルを曇らせてしまいます。
周りの子と比べてしまうことで、子供の良いところを見失い、親であるお母さんやお父さんが心を静めることができなくなってしまうのです。
その結果、イライラしてキツイ言葉で子供を叱ってしまう。そうなれば、子供だけでなく親子で辛い思いをしなければならなくなるのです。
子どもの「得意」を大切に
子供達にはそれぞれの特質があり、子供の成長にもそれぞれのペースがあります。
子供のうちに苦手なものを克服しなければと、お父さんやお母さんがお子さんの短所ばかりを気にしてしまえば、その子が持つ大切な個性をつぶしてしまうことがあります。
日本の学校は「差別しちゃだめよ!みんな同じ人間なんだから」と教育しますが、アメリカの学校では「差別はしちゃだめよ!みんな違う人間なんだから」と教育します。そうなんです、みんな違って当たり前で、百人十色なんです。
子供の苦手分野を指摘して否定的な言葉をかけるよりも、得意分野を子供のペースで伸ばす言葉かけをして、子供の大切な自尊心の芽を摘んでしまわないことが大切です。
勝敗に対する言葉かけ
スポーツには勝ち負けが存在しますが、結果はどちらにしても、その原因をどこに求めるかによってその先の行動を大きく左右させます。
たとえば勝った試合で「相手が弱かったから運が良かったわね」と伝えれば、子供達は達成感も感じないし自信にもつながりません。しかし「自分達が強くなったから勝てた」「自分達の努力があったから勝てた」と伝えればそれが子供達の自信へとつながります。
そして負けた試合では「自分達に能力がない」「自分達が弱いから」と伝えれば自信を喪失させてしまうかもしれませんが、「自分達の努力が足りなかったから」と原因を努力に求めれば自信を喪失させないですみます。
試合後は、子供達がまた明日から「意欲」「やる気」を持って前へ進めるような言葉かけをしてあげるように心がけましょう。
子供にはより良い言葉かけを
子供達は過去の行動からも自信をつけることができます。
それは「何か大きな壁を乗り越えた自分」「試練を乗り越えた自分」などマイナスをエネルギーに変えた時です。
それまでの過程の中で親ができる最大の手助けは「乗り越えようとしている子供達を見守ること」と「乗り越えたことに対する認めの言葉かけ」です。
「そんなんだから強くなれないのよ」「それで努力してるって言える?」「また諦めるの?」という否定的な言葉かけは必要ありません。
子供と話す時は「できていないこと」よりも「できていること」に着目し、マイナスの出来事にも「このままではいけない」ではなく「だからこそこれから」と、親が前へ進めるための会話を心がけるだけで、子供は随分と気持ちが楽になって前向きになれるはずです。
正論を並べても効果なし
子供達がスポーツをするうえで、全てのことがスマートに運ばれることはまずありません。
その時にどれだけ踏ん張れるかは、その裏で「子供自身の欲求が十分に満たされているか」が重要となります。
子供達が自信を持てていない時期に大人達からさらに追い詰められれば、子供達は逃げたくなるし、正論を並べて責められれば、さらに苦しくなります。
子供に対してガミガミうるさく言うことが親の役目ではありません。子供の短所と思えることころでも、発想の転換で長所に変えてあげるのが親の役目です。
子供達が自信を持って前へ進むためにも、親はいつでも子供達の良き理解者でいてあげることが大切です。
子供が自信をなくしてしまった時は
これまで「自信」についてお話ししてきましたが、どんなに素晴らしい心の持ち主でも、常に自信に満ち溢れてワクワクしている状態がずっと続くことは残念ながらありえません。
いくらポジティブな考え方を意識していても、子供なら尚のこと心が折れそうになってしまう時期はやってくるでしょう。
そんな時にいくら大人が「自信を持って」と言っても、大した効果は期待できません。
「自信をなくしている=ネガティブになっている」ということですから、まずはネガティブからポジティブに変えることが必要になります。
そこで親がかけてあげれる最高の言葉があります。
それは「ありがとう」という言葉です。
「あなたの頑張る姿を見てるとお母さん元気になるな。いつも元気をくれてありがとう。」と言ってあげてください。
ネガティブになっているということは自分自身を肯定できていない状態にあります。
自分を否定する、肯定できないということは周りが想像する以上に本人にとってはとても辛いことなのです。
しかし、この「ありがとう」が子供をまた前に進めてくれる魔法の言葉になってくれるかもしれません。
まとめ
今回は「スポーツをする子供の「自信」を高める親とそうでない親の言葉かけ」についてお伝えしましたがいかがでしたでしょうか。
子供達が自信を得るために必要なものは「達成感」「準備」「環境」「自己肯定感」などがあげられます。
特に自己肯定感は子供1人で育つものではありません。
お父さんやお母さんの日頃の言葉かけがスクスクと成長させてくれるのです。