試合前の選手にかける言葉「緊張するな・失敗するな」はNGワード
こんにちは、メンタルトレーナーの葉月(@w_haduki)です。
スポーツをする子供達や保護者の方にとって「大切な試合でいかに力を発揮できるか」ということは、大きな課題だと思います。
先日も私がメンタルトレーナーとして携わっているクラブチームで保護者の方から「うちの子って試合になると緊張からすぐ体が硬くなってしまって、何とかしてあげたいんですが、試合前にはどのような言葉かけをするのがいいんでしょうか?」という相談を受けました。
確かにその選手は、練習だとエース級の動きができるのに、試合となれば本来持っている実力を十分に発揮できないことが多く、私も気になってる選手の1人でした。
しかし、それは選手だけの課題ではありません。彼を取り巻く環境や大人の言動も大きく影響しますので、この選手はお母さんからこのように考えてもらえるのはとても幸せなことなのです。
では早速、「試合前の言葉かけ」について考えていきたいと思います。
パフォーマンスの低下を招く言葉かけ
試合会場では、保護者の方や指導者の方がこのような声をかけている場面をよく見かけます。
- 緊張しないようにね!
- ミスをしないようにね!
- 集中力を途切らせないようにね!
子供のことを応援するために掛けたはずの言葉が、逆にプレッシャーを与えたり、緊張させてしまったりと子供の心を乱してしまうケースがあります。
試合前だけに関わらず、子供に掛ける言葉で使ってほしくないのが「〇〇をしてはならない」といった否定文です。
たとえば辛い出来事があった時に、そのことを頭から消してしまいたい、もう考えたくないと思えば思うほど、グルグルと頭の中を駆け巡らせてしまうといった経験ありませんか?
人は否定形の思考ほど行動に移しにくいため「好きな人の笑顔を思い浮かべるな!」と言われれば、頭に好きな人の笑顔を思い浮かべてしまいます。
それと同じで、ミスをしないようにね!と言われれば、脳内にはミスをしてしまっている自分をイメージしてしまうので、不安やプレッシャーを強いものにしてしまうのです。
緊張とパフォーマンスについて
スポーツをしている子供の多くは、緊張してしまう自分を恐れています。
それは、緊張やプレッシャーを感じることで、実力が十分に発揮できないと大人に言い聞かせられてきたからです。
しかし、適度な緊張感は集中力を高め、競技パフォーマンスを向上させてくれるため、緊張を否定的に考える必要はありません。
ここで本当に懸念したいことは「緊張している自分ではダメだ」と感じる自己否定感なのです。
たとえば子供達に「ここにある英単語を覚えて」と指示を出せば、ほとんどの子供がノートに英単語を書くなどして覚えようとするでしょう。
これは「英単語を覚える」という課題に対して、クリアするための方法が分かっているので行動へと繋げることができるのです。
ところが「緊張しないで」と言われたらどうでしょう。何をどうしたらよいのか分からず「緊張する自分はダメだ!」という思考だけが残ってしまいます。
緊張は意図的に起こすものではなく、自分の意思に反して起こってしまうものです。自分の中で起こってしまった感情に反発して戦っても決していい方向に向かうことはありません。
それどころか、緊張している自分を否定的に考え、メンタルを不安定なものにさせてしまうため、「緊張」のワードを使った言葉かけをすることは好ましくありません。