こんにちは、メンタルトレーナーの葉月です。
子供の成長過程でお父さんやお母さんの言動は良くも悪くも子供達に大きな影響を与えます。
コーチや監督が指導することをコーチングと言いますが、当サイトでは、親が子供を支えて見守ることを「ペアレーチング」とよんでいます。
ペアレーチングの基本は、子供が自らで学べるように支えとなる教育、つまり 「自主性」「創造力」「自己肯定感」の三本柱を育ててあげることです。
親の関わりと子供の成長
ひとつの命がお母さんのお腹の中から誕生し、独り立ちをするまでの間に、子供達はたくさんの経験をしながら成長していきます。
成長していく中での経験には、楽しいことだけでなく、辛いことや苦しいことも当然あるでしょう。
もちろん親としては、子供が苦しむ姿を見たくないと思うのが正直な気持ちだと思います。
しかし「挫折」「失敗」を経験しないまま大人になっていく子供なんていないし、辛い思いをした経験があるからこそ、人に優しくでき、自分自身のことも大切にできるのだと思います。
しかし、親が先回りして「こっちの道が安全だよ」子供を誘導してあげたり、途中で転んだ子供を抱きかかえてあげれば、成長していくうえで必要な三本柱のいずれかが欠落してしまいます。
自主性の大切さ
自主性とは、自分がするべきことや自分がしたいことを自分で見つけて行動することを言います。
つまり「しないといけないことをしているだけ」「言われたからしてるだけ」では、自主性のある子供とは言えません。
自主性が欠けている子は、自分自身の考えで動くことが少ないため、何をやってもモチベーションが持続せず、長続きしません。
逆に自主性を持っている子供は、自分のしたいことや自分のやるべきことを見つけて行動できるため、学業やスポーツ、習い事でも、多くの成果を残すことができます。
過干渉と無関心の問題点
親が子供に無関心な場合は、自己肯定感を低下させるため問題でありますが、その逆で、過干渉は自主性の成長を妨げてしまいます。
私がメンタルトレーナーとして携わっているバスケットチームのお母さんに過干渉と呼べる方がいました。
とにかく先回りして、「あれしなさい、これしなさい」「コーチにはこう言いなさい」「コーチにこう言われたら、こう言いなさい」など、常に子供の意思を無視して指示を出しています。
その姿を見ていると、その子の将来がとても不安になってきます。この子はきちんと思春期を迎えることができるのだろうか、親から自立したいと考える時がくるのだろうかと。
これは、私の大げさな想像でも何でもありません。自分で考える前に、親の価値観を押し付けられて育った子供は、自分で考えて行動する力が欠落してしまいますし、それはスポーツの現場でもよく現れていました。
その子が試合中にミスをすれば、お母さんは「今のは、〇〇のキャッチミスだから大丈夫よ!」「そこは動きが違うでしょ!」など声をかけるため、その子はミスをした時、コーチでなくお母さんを見る癖がついていました。
その都度、スポーツ指導を通してコーチと共に色々と声かけをしてきましたが、この場合だとお母さんが変わらなければ根本的な解決に至らないため、この子のメンタルケアは特に難しかったのを覚えています。
自主性を育てるのは親の役目
「子供達には自主性を持って欲しいと思っているけれど、つい「こうしなさい」「ああしなさい」って言っちゃうんですよね・・・」と話すのは、こちらも私がメンタルトレーナーとしてお世話になっているクラブチームのお母さんです。
大人からすると子供の言動は間違っていることも多く、大人はつい頭ごなしに否定してしまったり、「こうするべきだよ」とアドバイスをしたくなります。
「自分で考えなさい」「自分から行動しなさい」と子供に伝えながらも、いざ子供が自分で考えて行動をしようとすれば「それ違う」「こうしなさい」と自主性の芽を親が摘んでしまっているのです。
最近の教育・子育てで問題視されているのが、先ほどもお話ししたました「親の過干渉」です。
子供が転んだ時には、親が起こして先に進ませようとしますし、進むべき道に迷った時も、親がナビゲーションになって誘導します。
そのほうが、きちんと子育てをしていて、愛情を注いでいるようにも見えますが、それは親が短期間で結果を求めているだけです。
子供の自主性を育てるうえで大切なことは「待つ」「見守る」です。
時間はかかるかもしれませんが、 子供が自分で考え決断して進めるようになるまで待ってあげることも親の大切な役割なのではないでしょうか。
自己肯定感の大切さ
自己肯定感とは、自分の事を大切な存在だと自分自身で認められることを言います。
自己肯定感があれば何か途中で問題が起きても、ポジティブな考え方ができるため前へ進むことができます。
その理由は、たとえ途中でつまづいても、逃げたくなっても 「自分なら大丈夫」と思える力を持っているからです。
しかし、自己肯定感の低い子は、何かにつまづいた時には「やっぱり自分にはダメだった」と諦めのいい子になってしまう。それでは、何をするにも達成することは難しくなってしまいます。
親の言葉かけと自己肯定感
子供達を見ていると、十人十色で様々な性格の子がいます。生まれ持った先天的な性格と呼ばれる部分を変えることは難しいですが、自己肯定感に関係する性格は後天的なもので、周りの大人の言葉かけで大きく変化します。
私は先日、学校内で問題行動ばかりを起こす子供のカウンセリングを担当しました。そのカウンセリングには、その子のお母さんも同席していたのですが、その子の問題行動には「自己肯定感の欠落」に原因があることが分かりました。
子供の言うことに対して、とにかく否定的な声かけの多かったお母さんを見て、家庭内でのやりとりがだんだん見えてきました。
- そんなことをして将来の何のためになるの?
- そんなんじゃ立派な大人になれないわよ
- どうしてもっと人に優しくできないの?
- どうして善悪の判断ができないの?
問題行動を起こす子供達に共通している原因が、自己肯定感や自尊心の低さにあると言っても過言ではありません。
特に現在は少子化のため、昔と比べて子供に関わる大人の数が減っているため、親の声かけの影響は大きなものとなっているのです。
自己肯定感の育て方
子供の自己肯定感を育てるうえで大切なことは、自分は誰かに大切にされていて、必要な存在なんだと思えることです。
そのためには、まずお子さんの話をきちんと聞いてあげることが大切です。
話を途中で変えたり、自分の事を優先させて途中で聞くのをやめたり、スマホやテレビを見ながら聞いたりすれば、子供達は自分の事はどうでもいいのだろうと感じてしまいますし、何に対しても、否定的な意見を言われれば、子供の自己肯定感を摘んでしまうことになります。
子供が手伝いをした時は「助かったわ、ありがとう」と伝え、子供が失敗をしてしまった時はそれまでの努力を認めてあげましょう。
子供達は結果よりも過程を評価されることで、自己肯定感の核が生まれ、何事にも意欲的に行動をすることができるのです。
創造力の大切さ
創造力とは、問題を解決をする能力のことをいいます。
創造力を持っている子は、何か問題が起こった時に「これがだめなら、あれはどうだろうか?」などの発想の転換ができるため、壁が立ちはだかってもそれを乗り越える強さを備えています。
逆に創造力が欠落してしまえば、何か問題が思ったときに呆然と立ちはだかってどうしたらいいのか分からなくなってしまう。
つまり、子供達が社会に出てからも創造力は大きな強みとなってくれます。
創造力の育てかた
子供の創造力を育てるには、まず自由にさせてあげることです。
自分の出した答えが正解か不正解かを気にする前に、 間違ってもいいから自分の考えを行動へ起こすことが大切です。
そのため、お父さんやお母さんは、子供を型にはめず、どんなことにも「正解は一つではない」ということを、子供自身に学ばせてあげることが大切です。
最後に
自主性・自己肯定感・創造力を育てるのに共通して大切なことは、親の関わり方です。
多くのお母さんは、勉強ができて、部屋の片づけができて、親や先生の言うことを聞けて・・・。
そんな子供にしたくて「あれをしなさい」「これはしちゃだめよ」「ママの言うことが聞けないの?」「そんなダメな子は嫌いよ」など、制限や強制、否定の言葉を使ってしまうことがあります。
親が子供の行動をコントロールしようとしては、ペアレーチングの3本柱である「自主性」「自己肯定感」「創造力」を育てることはできません。
子供を信じて見守ることも、ペアレーチングでは大切なことなのです。