【ミニバス問題】保護者がコーチを辞めさせることはできるのか?

スポーツ少年団とは、子供達にスポーツをすることの喜びを教え、心と体を強くすることが理念とされているのですが、大人の「期待」「希望」「欲」が優先されてしまい、子供達にとって大切な「何か」が曇ってしまうことがあります。

先日も史上最低!ヘッドコーチのテクニカルファールで逆転負けでお伝えしたように、指導者の暴言や暴力問題はいまだになくなっておらず、それどころか子供達が勝てない原因を子供達の中だけに求めている指導者の方も少なくありません。

今回は、史上最低!ヘッドコーチのテクニカルファールで逆転負けの事件をもとに 「【ミニバス問題】保護者がコーチを辞めさせることはできるのか?」について考えていきたいと思います。

保護者からの辞任要求

「ヘッドコーチのテクニカルファールで逆転負け」の事件後に、コーチと男子保護者で保護者会が開かれました。

その中でヘッドコーチが話した内容はこのようなことでした。

  • 自分は間違った指導をしているとは思っていない。
  • 子供達には勝つ喜びを味あわせてあげたいと思っている。辛さが耐えられない選手は辞めるべきでは?
  • 自分がきつい指導するのは、子供達にもっと強い気持ちを持ってもらいたいから。
  • 自分も同じように指導者され恩師には感謝しているので指導方針を変えるつもりはない。

と以上のような内容でした。

私はその話を聞いて実に理にかなっていないし、そもそも「きつい指導=強い心を育てる」という考えはいかがなものかと疑問でなりませんでした。

そして今回の出来事をきっかけに保護者側から出た要求は 「コーチの辞任」でした。

保護者からの辞任要求

保護者会

保護者からは以下のような発言がありました。

「コーチのやっていることは指導でも教育でも何でもないと思います。そして子供達はそんなコーチの犠牲になってると思えて仕方ありません。」

「今後も子供達に対して低俗な暴言・暴力でしか指導できないのであれば、この先、子供達と関わってもらいたくありません。私たち保護者はコーチの辞任を要求します。」

そんな厳しい言葉がコーチへ向けられましたが、コーチから返ってきたのは「残留希望」でした。

これからは絶対に暴言や暴力は使わないという約束をしてもらいその場は終わりましたが、子供達との信頼関係を修復するには多大な時間を要することは説明するまでもないでしょう。

コーチの辞任が成立しなかった裏事情

ここまでのことをしたコーチが、子供達に引き続きバスケットボールを教えることができたのはなぜでしょうか。

「自分だったら絶対に許さない!」と思った方も多くいらっしゃると思います。

しかし、コーチの辞任要求が通らなかったのはある原因がありました。

その原因とは「裏でコーチの指導を支持する保護者もいたから」というものでした。

本当に心からコーチの指導が正しいと思っていなくても、少なからず必要だと考えていたり、とりあえずコーチ側についておけば大丈夫、そして「長い物には巻かれろ」と考える親もいるということです。

そのような取り巻きがこのような指導者を勘違いさせ、また同じような出来事が起きてしまうのかもしれません。

※こちらの指導者は平成30年3月に再び保護者から辞任を要求され、現在は子供達の指導に携わることをやめられました。

ミニバス指導者の意識調査について

バスケットボール

平成26年10月1日から1カ月の間に全国のミニバス指導者へ意識調査が行われ、4217名分の回答が集まり集計されました。

その中で分かったことは、多少の暴力でも「許されない」「できれば避けたい」と考えている指導者の方が大半を占めている中で、依然として「許される」「内容による」と肯定する者が20%も存在しているというものでした。

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そんな中で子供達を守るために私たち親はどのように子供達を守り、支えていったらいいのでしょうか。

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学校という組織はとても閉鎖的で何かトラブルが起きても中々表面化されない部分があります。 友達同士のトラブルやいじめ、そして生徒が先生へ、先生が生徒へと暴言を吐いたり、暴力を振るったりといったケースも決して珍しい話ではありません。

怒鳴るコーチがいなくならない理由

バスケットボール

スポーツ指導をするコーチや監督の暴言・暴力事件が絶えないのは、選手をコントロールするのに一番手っ取り早かったり、自分の怒りの感情が抑えられないからであって、愛情から暴力を振るう指導者はまずいません。

「暴力=熱意」というのは、暴力を振るった指導者が後付けした言い訳にしか過ぎませんし、逆に言えば、暴力を振るわない指導者が熱意のない指導者という考えにはなりませんよね。

それに暴言や暴力を熱意の一言で片付けられてしまえば、それを受けてきた選手はたまったもんじゃありません。

たとえば、指導者が試合で失敗をしてしまった子供達に「自分の中に失敗した原因があるからそれをよく考えろ」と言っておきながら、指導者自身もそのことをしなければ、チームとしての成長はありえませんし、チーム力が高いチームはそれぞれに考える力が身についているものです。

しかし「暴言」「暴力」は考えることを諦め、相手のせいにして相手を責める事で問題を解決に向かわせているという思い込みにしか過ぎないのではないでしょうか。

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「指導者の暴力問題」は時代の流れと共に少しずつ変化しているものの、やはり根絶まで至るには、まだまだ解決していくべき問題が山積みです。 そこで今回ご紹介したいのは「少年野球で起きた監督による暴力問題」です。

大人達が考えること

私たち大人が子供のために考えるべきことは「子供の気持ち」と「子供の安全」「子供の未来」ではないでしょうか。

指導者の方から暴言や暴力に関する相談を受けることは以前より減りましたが、まだまだゼロではありません。

もちろん相談を受けたときは、子供達が今までの環境で今まで通りスポーツが続けれることを前提でメンタルケアを行いますが、その時に必ず保護者の方へお伝えすることは「今を勝ち抜くことも大切だけれど、本当の目標や夢が曇るのであれば違うチームに移ったり、スポ少ではなくバスケットスクールに通うという選択肢もあると思います。」ということです。

日本は昔から「我慢が美徳」という風潮があり、私たちはその中で育ってきたため、子供達にも同じようなことを求めてしまうことがあります。

しかし私は、まさに「今」に耐え頑張り抜いてきた結果、最終目標を目前に体に心がついてこられなくなり、バスケを辞めてしまった選手も見てきました。

メンタルトレーナーとして色々な子供達を見ていると、時々何が正しくて何が間違っているのを見失いそうになってしまうことがあります。

だからこそ私たちは、子供達の何倍も「考えること」をやめてはいけないのではないでしょうか。

【ミニバス】スポーツ指導の問題相談

日本ミニバスケットボール連盟

ミニバスの現場でスポーツ指導に問題が起きた場合は、各都道府県にミニバスケット連盟が設置されていますのでそちらに相談することが可能です。

各都道府県ミニバスケットボール連盟リンク

指導者のための5つの心得

これは日本ミニバスケットボール連盟が掲げている指導者のための心得です。

敗戦はあなたの責任です

敗戦をプレイヤーや審判のせいにすることなく、冷静に課題をみつけましょう。向上心を忘れず謙虚な気持ちで指導にあたりましょう。

体罰、言葉の暴力は厳禁です

全指導者で、体罰・暴言を根絶しましょう。指導者同士で注意し合える関係づくりに努めましょう。

子どもの将来を考えた指導に心がけましょう

小学生の時期は、頭も体もおおいに成長します。技術に加え、適切な判断力や行動力、マナーを指導しましょう。

選手をたくさん褒めましょう

プレイヤーは不安や緊張の中でプレイしています。結果ばかりに注目するのではなく、何かにトライしたことを褒めてあげましょう。

審判のレベルアップに貢献しましょう

Good Minibas には審判の育成が不可欠です。指導者がルールをよく学習し、審判活動にも進んで取り組みましょう。

引用元:日本ミニバスケットボール連盟 公式ホームページ