スポーツで「褒めて伸ばす」の目的とは|自己肯定感の育て方

スポーツ少年団でサッカーをする子ども達

こんにちは、メンタルトレーナーの葉月です。

スポーツ少年団や学校の部活動を通して、様々な指導者やお父さんお母さんの考え方を見てきましたが、子供を指導・教育する上で「これが絶対に正しい!」と言った答えはなく、その時その時に応じて変わってくるものだと感じました。

その中でも様々な意見があるのが「褒める」という行動です。

  • 褒めることでやる気が出るのだから、とにかく褒めるて伸ばすべき
  • 調子に乗るので、滅多に褒めるべきでない
  • アメとムチを利用して時に褒める
  • 最近やる気を感じないから褒めて子供のモチベーションを上げてみようか

さて、スポーツを頑張る子供達のメンタルを強くして、安定させるには一体どれが正しいのでしょうか。

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選手が褒められることで得るもの

グローブでボールをキャッチ

まず最初にお伝えしたいことは、褒めることの最大の目的が「一時的なやる気を上げることではない」ということです。

私が考える最大の目的は

  • 自分で自分を認められる選手になる
  • 自分の可能性を信じられる選手になる

この2つになります。

時に失敗し、だからこそ自分がするべき努力が見え、新たな挑戦をする。

その「自分で成長していく強さ」を身につけさせるために、周りにいる大人が努力や過程を認め褒めてあげるのです。

つまり、大人が褒めることで子供たちの自己肯定感を育て、「頑張ろう!」とやる気が上がるのは後からついてくるものに過ぎないということです。

やる気を出させるために褒めるのはなく、 めてあげることで自己肯定感が育ち、結果的にそれが子供のやる気の源になるということなのです。

「褒める」が生み出すそれぞれの感情

自主練をする子ども

これは私がメンタルトレーナーとして携わっている、中学の男子バスケットボール部のお話しです。

彼らは1ヶ月後に行われる新人戦に向け、毎日の練習へ真面目に取り組んでいました。中でも、スモール・フォワードの倫太郎はいつもに増して黙々と練習やトレーニングに取り組んでいました。

そしてチームをより勝利に導くためには、自分のスリーポイントシュートの成功率が大きく影響すると考え、通常の練習が終わった後、倫太郎は1人でシュート練習をしていました。

そして新人戦試合の当日、倫太郎は多くのスリーポイントを決める事ができました。

彼の努力を見てきたコーチや親は「練習の成果が出たじゃないか、素晴らしい!倫太郎〜!ナイスシュート!」と褒め、倫太郎はさらにモチベーションが向上し、実力をどんどん発揮することができました。

そしてその試合の中で、センターポジションの大地が、いつものようにゴール下でシュートを決めました。それを見ていた大地のお母さんは、「大地〜いいよ〜!ナイスシュート!!」と誰よりも大きな声で褒めてあげました。

大地にとってそれは特別すごいことではなく、決めて当たり前のシュート。それなのに大袈裟に褒められたため、「ゴール下のシュートを決めたくらいで褒められたって嬉しくない。恥ずかしいからやめてくれよ!」と苛立ちさえも感じたそうです。

「褒める」が逆効果になる時

バスケットボールの試合

「褒めることで子供の自己肯定感が育つ」とお伝えしましたが、倫太郎と大地の話を例にしても、その言葉が相手にとって本当に喜ばしい言葉なのか、褒める側はまずそこを知ることが必要となります。

倫太郎は、スリーポイントを決める事がこの試合での挑戦でした。それまでに努力もしてきたし、その結果が出せたことに対する達成感も得ていたので、「褒める」がさらに倫太郎のパフォーマンスを上げることにもつながりましたし、何より今回の新人戦の結果は、倫太郎の大きな自信になったと思います。

しかし、ゴール下のシュートを決めた大地は、それは挑戦でも何でもなく当たり前のことなので、達成感を得ることはできませんでした。むしろその日の大地は調子が悪く、ミスも目立っていたのでメンタル面でも安定している状態とは言えませんでした。

つまり、本人が納得していない状態で褒められても、何も響かないどころか、今回のように苛立ちに変えてしまう可能性もあるということです。

褒めるが有効な時

体育館とバスケットボール

子供が少しでも達成感を感じ出している時であれば「褒める」が有効だと言えますが、「このままではダメだ」と悩んでいる時に、むらみやたらに褒められても、子供は虚しさを感じるだけです。

もともと自己肯定感が低い子や冷静で賢い子なんかは「そんな見え透いた褒め言葉なんて」と、大人に対して警戒心を抱いたり、卑屈にさせてしまうケースがあります。

つまり、褒める際に注意したいのは、褒める頻度ではなくタイミングだと言うことです。

倫太郎と大地がまさにそうでした。子供の挑戦や努力の成果が出た時こそ、褒めるタイミングだと言えるでしょう。

褒めるタイミングを見逃してはならない

バウsケットボールの練習をする少年

褒めるタイミングを知るには、子供達が今「真剣に取り組んでいること」は何なのか、「努力をしていること」は何なのかを、お父さんやお母さんがよく理解する必要があります。

そのためには、子供とのコミュニケーションが最も大切だと言えるでしょう。

近年はスマホやゲームの普及、子供の塾や習い事、共働きの家庭が増えたなどの理由から家族で一緒の時間に食卓を囲めないことから、親子のコミュニケーション不足が問題視されています。

塾やスポ少の送り迎えや夕食の時間、寝る前の隙間時間などを有効活用して、なるべく親子の会話を大切にするようにしましょう。

思春期のコミュニケーションについて

幼少期に子供とコミュニケーションをとることは、時間さえ確保すれば簡単にできたと思います。

ところが小学校高学年や中学生になったあたりから、親子間のコミュニケーションに変化が生じるようになります。

この時期から反抗期に入るお子さんも多くいるでしょうし、そんな子供の態度に不安や戸惑いを隠せないお母さんも多いと思います。

しかしそれは、子育てを間違えた訳でもなければ悪いことでもありませんし、もちろん親が嫌いになったわけでもありません。

子供が大人になっていく中で誰もが通る道なのです。

そんな時は、とにかく子供と向き合って親は逃げないことです。 子供のすべてを受け入れて認めてあげることです。

子供の話を途中で遮ったり、決めつけて叱ったりすることはよくありません。とにかく最後まで話を聞いてあげることが大切です。

【親必見!】思春期の子供と上手にコミュニケーションをとる方法
大人は知っていることがたくさんあるし、たくさんのことを経験してきているため、子供達に何か大切なことを伝える時、一度に多くのことを伝えようとしてしまう傾向にあります。 しかし子供が一度に情報を受け入れる量は決まっていて、一度に多くのことを言われれば結局重要なことが伝わっていなかったということも珍しくありません。

褒めると調子に乗るから褒めない?

前向きに試合へ挑もうとする少女たち

子供達は褒められることで、時に調子に乗って失敗してしまうことがあります。

しかし、調子に乗ること自体、本人にとってはすごく気持ちのいい状態なので、決して悪い状態ではありません。

たとえ調子に乗ることで失敗したり、痛い目にあったとしても、その失敗を自分の体と脳で体感できるのですから、そこから学べるものがあるはずです。

問題なのは「失敗をすること」ではなく、自己肯定感を持てないまま成長していくことが問題だと言えるでしょう。

まとめ

今回は 「スポーツで「褒めて伸ばす」の目的とは|自己肯定感の育て方」についてお伝えしましたがいかがでしたでしょうか。

子供を正しく褒めれば、ペアレーチングの3本柱「自主性」「創造力」「自己肯定感」は自然と身についてくるものです。子供達のメンタルを強くするにはこういった親の関わり方が大きく影響します。

褒められるという事は自分自身を認めてもらえることです。大好きなお父さんやお母さんに認めてもらうことは、子供達にとってとても嬉しいことなのです。

その積み重ねが子供の「やればできる!」をつくってくれるのです。