負けた時に読む|選手のモチベーションを低下させないコーチング法

2015年12月4日コーチング

サッカー少年

こんにちは、メンタルトレーナーの葉月(@w_haduki)です。

スポーツをするうえで常についてくるのが「勝敗」や「結果」です。

子供達は常にこれらに対するプレッシャーと戦いながら努力を続けていくわけですが、「予想外の敗北」や「立て続けの敗北」にモチベーションを低下させてしまうことがあります。

モチベーションの低下は、ありとあらゆる場面で子供達の集中力を低下させてしまいますし、怪我をするリスクも高めてしまうことがあります。

そこで今回は 「負けても選手のモチベーションを低下させないコーチング法」についてお話ししたいと思います。

メンタルトレーニングの定義とは

野球の試合指導者が子供達を指導するうえで重要視されるのが、技術面や体力面の向上で、限られた時間の中でメンタルトレーニングにまで時間をかけていられないと言う指導者の方は多いかもしれません。

ベテラン指導者の中にはいまだに「気合いだ!気持ちだ!」と根性論でスポーツ指導をしている方を見かけます。

私はその全てを否定するつもりはありませんが、今の子供達にそのような指導方法は効果が発揮さされにくく、練習を厳しくすれば「そんな辛い思いしてまでは」、レギュラーから外せば「自分はチームに必要ないんだろ」と簡単に辞めるという選択肢を選んでしまうから本当に厄介です。

そして時代と共に、スポーツ少年団や学校の部活動では「メンタルトレーニング」を取り入れた指導が見られるようにもなりました。

私はメンタルトレーナーとしていくつかの団体を見てきましたが、残念ながら「メンタルトレーニング」という言葉が一人歩きしているように感じてなりません。

1997年、世界的基準での専門家育成のための国際教育システムが作られたというお話はご存知でしょうか?この時に国際メンタルトレーニング学会が以下のような定義を発表しました。

「メンタルトレーニングとは、身体的な部分に関わらないすべてのトレーニングであり、ピークパフォーマンスとウェルネスを導くための準備である。スポーツのパフォーマンスや人生を向上させるための、ポジティブな態度、考え、集中力、メンタル、感情などを育成・教育することが中心である。」

このことからも察することができるかと思いますが、メンタルトレーニングは魔法でもなんでもなく、毎日の積み重ねでやっと効果を発揮することができるのです。

負けが続いている時のメンタルトレーニング

グランド

個人でもチームでも調子が良い時はいいのですが、冒頭でもお話ししたように負けが続いてモチベーションが保てない時期がやってくることがあります。

その時に選手がどのような思考で、どのように前へ進んで行くのかで結果に大きな差が生まれてしまいます。

つまり「悪い時期」にいかに前を向いて取り組むことができたかが、「良い時期」に大きな結果へとつなげてくれるということで、悪い時期に下を向いていたチームは、たとえ良い時期が訪れても自分達の納得いく結果を残すことは難しいでしょう。

大切なことは、良い時期が訪れて行動するのではなく、悪い時期にどれだけ結果を残すための準備ができるかなのです。

では次に「悪い時期でも前を向いて競技と向かい合う方法」について考えていきたいと思います。

とにかく前を向いて進む

出口の見えるトンネルチームが1つ上のレベルで戦いだした時から、チームは中々勝つことができない「長いトンネル」へ突入したのだと考えましょう。

もちろんトンネルの中は、暗くて狭くて息が詰まりそうです。しかし前に走り続ければ必ず出口があるのがトンネルです。

むしろ一人でもバックで引き返そうとしようものなら事故のもと。例え引き返せたとしても元の世界で同じ景色しか見ることができません。

次の景色を見るためには「光が見えるまでひたすら前に進み続ける」しかないのです。

そのためには「勝てっこない」「楽しくない」とブレーキを踏んだりせず、前へ向かって練習するしかないのです。

努力が報われないと感じる時の思考

バスケットボールの試合

いくら頑張っても結果がついてこない時期は、モチベーションが低下して選手にとっても指導者にとっても辛い時期だと思います。

しかしどれだけ頑張っても身にならない時は、もう一度自分達を見つめ直すいい機会でもあります。

たとえ負けが続く試合の中でも「なんとなく試合をしたら、なんとなく負けた」という試合だけは決してしてはいけません。それは選手だけでなく指導者も同じことが言えます。

大切なことは自分達よりも格下のチームに勝つことではなく、自分達よりも格上のチームに「最後まで全力で戦うことができるか」ということなのです。

格下のチームと戦って勝った試合よりも、格上として負けた試合。どちらのほうが学べることが多いのかは説明するまでもないと思います。

過去より未来

野球の試合

過去に実績を残している選手ほど、負けが続いている時というのは辛いものかもしれません。

しかし「あの時はよかったな」「あの時は楽しかったな」「あの時に戻りたいな」と脳が過去に占領されてしまえば、現在に集中できなくなってしまい、さらにモチベーションは低下してしまうでしょう。

これはスポーツだけではありません。

人が何かを成し遂げようとするときに大切なことは、過去に囚われることでもなく、不安を抱え込むことでもありません。

今現在、自分にできる最高の努力ができているか、明確な課題や目標があるかということです。

選手のモチベーションが低下していると感じた時は「目標が曇っているサイン」です。今一度確認して課題や目標を明確なものにしましょう。

失敗や挫折をプラスに変える

スポーツをする子供達

最終的に勝者となる選手は、決して失敗や挫折がない選手ではなく、失敗してもスランプに陥っても決して諦めない選手達です。

一度の敗北で諦めるのは、「芯が折れてしまったからと、まだ使える鉛筆を捨ててしまう」それと同じことが言えます。

ただし、ジュニア世代のスポーツでは周りにいる大人達の影響も大きく、指導者の方や保護者の方の言動で「失敗する選手は無能」だと捉えてしまい、失敗に対するイメージがマイナスでしかない子供達がいます。

そのため、ミスに対するスポーツ指導を行うことと、挑戦したことに対して怒鳴ったり責めたりすることは違うということを大人達はしっかり頭に入れておくことが必要です。

負け試合後のミーティング

野球の試合

負けた後のミーティングで避けたいことは、試合の勝敗結果を知らない人が見ても一目瞭然で「あっ・・・あのチーム負けたんだな」と分かってしまうくらいに空気がどよんでしまうことです。

試合に負けてしまえば、選手だけでなく指導者も落ち込んでしまうものです。そのため選手のメンタルケアにまで意識が行かなくなり、さらには負けた原因を選手のせいにしたり、怒りをぶつけるといったケースまであります。

しかし、一番にダメージを負っているのは間違いなく選手である子供達なのです。

そんな精神状態で指導者が怒鳴ったり、見放すような発言、選手として否定するような発言をしてしまえば、選手はさらに傷を深くし、その不安が次の試合へ悪い方向へ作用してまた負けてしうという悪循環を起こしてしまいます。

そのため、負け試合の反省会はしばらく時間を置いてからすることが理想的です。そしてその時に気をつけたいのが、反省点ばかりを指摘しないことです。

試合で良かった点を十分に伝えたうえで、改善するべき点を指摘するようにしましょう。

2015年12月4日コーチング

Posted by 葉月 愛