スポーツをする子供がイップス(トラウマ)を克服する方法

こぶしを握る野球選手

「トラウマ」とは皆さんもご存知の通り、大きな精神的ショックや恐怖が原因で起きる心の傷です。

その心の傷が原因でパフォーマンスの低下、運動障害を起こすことが「イップス」と呼ばれています。

過去に「自分の失敗でチームを敗北へと導いてしまった」などのように大きな失敗を経験し、同じような状況に立たされたとき、そのことを思い出して脳が嫌な感情に支配されるという経験はありませんか?

嫌な感情を無理にかき消そうとしても、人の脳はなかなか記憶を消してはくれません。

むしろ、消したいと思えば思うほど、嫌な感情に脳が支配されてしまいます。

今回は「スポーツをする子供がイップス(トラウマ)を克服する方法」についてをお伝えしたいと思います。

トラウマから解放される時

これはバスケットボールをしている息子(中学1年)の体験談です。

息子「大事な試合になればなるほど緊張して不安になって嫌になる時がある」

私「そうなの?今まではそんな風には見えなかったけど・・・」

息子「大きな試合になれば会場も大きいし、観客も多い。圧迫されそうになる」

私「ミニバスから数えると多分200回は超える試合数を経験しているよね?その中には3面ある大きな会場だってあったし、100人を超える観客の中でプレーをすることもあったけど、じゃぁ逆に観客が少ない練習試合や小規模のカップ戦だったら全然平気なの?」

息子「うん。でも自分が大丈夫だと感じれる雰囲気がある会場だと大きくても平気な時はある。あっでも、逆に小さくても嫌な時はあるかも・・・」

私「それって大きな試合だったり、会場の規模とか観客が問題じゃないって事じゃない?」

息子「う~ん・・・よく分からないけど、緊張している中でプレーを続けていると過呼吸になってしまわないかとか、足に痙攣を起こしてしまわないかとか考えて、不安になってプレーが消極的になる時がある。その不安は大きな会場のときに多い気がする」

私「それって……昔のこと引きずっているの?」

息子「引きずっているつもりはないけど、少しでもその時と同じような体の変化が出るとヤバいかもって焦る」

昔のこととは、息子が小学6年生の時の話です。

カップ戦の決勝戦で1Q終了後すぐに息子の体に異変が起こりました。呼吸が苦しそうで支えないと立っていられない状態、過呼吸発作を起こしたのです。

しかし、ハーフタイムで落ち着きを取り戻した息子は、また3Q目からコートへ立ちました。しかし次は4Q目の途中で足痙攣を起こしてしまい試合続行は不可能と判断されベンチへと戻されました。私は息子にその出来事の中で何が一番印象に残っていて、何を思い出して不安になるのかを聞いてみました。すると・・・

「コーチにだからお前はダメなんだ。お前の気持ちが弱いから、チームにも迷惑かけとるのが分からんのか!?次同じことが起きたらベスメンから外すぞ。お前以外にも出たいと頑張っている選手はいくらでもいるんだ!甘えるな!そんなお前はこのクラブにはいらん。」と言われたことだと教えてくれました。

私は知りませんでした。

息子とコーチの間でそんなやり取りがあり、そしてその言葉が「トラウマ」となってそれが彼を不安にさせ、必要以上に緊張状態にさせていたとを。

でも、これで息子が「逃げだしたい」と嫌な感情が生まれる原因が分かりました。

ミニバスのコーチが息子にかけた言葉によって極度の不安や恐怖を覚えてしまったのです。

そこでこのトラウマに打ち勝つためには、自分の過去が不安とつながっている状態を改善する必要があります。

私は部活動の顧問に相談しました。

すると先生は「もしもまた同じような状態になっても、僕やうちのチームメイトが彼を責めることは絶対にないし、もしまた同じような状態になっても、それに対応できるような環境を作るようにしましょう!きっとそれだけでも気が楽になってくれるんのではないでしょうか。そうなればあいつは今以上に自分の能力を発揮できるでしょう。」と言っていただけました。

そして息子には過呼吸になる原因と対処法、痙攣の原因と予防法を教えると同時に、緊張することは悪いことではないという事を伝えました。

するとそれから何度か試合を重ねたあとに息子から「気持ちがなんか楽になった。不思議と不安を感じなくなった。ありがとう」と言ってきてくれました。

周りにいる人間も、自分さえも気づかないうちに苦しめられている「トラウマ」ですが、このように嫌な感情を根本から見直すことで解決の糸口になるのです。



「恐怖感」を自分から解放する

トラウマがよみがえって苦しいときは、我慢はせず、トラウマの原因となっている「傷」を勇気を持って受け入れることが大切です。

心から込みあがってくる「苦しい感情」を抑えようとすればするほど、自分が思っている以上に心は大きなストレスを感じています。

そして、強いストレスは心と体を破壊しかねません。だからこそ、苦しい感情をごまかそうとせず、全てを受け入れ、感情を外へ解放することが大切なのです。

スランプとイップスの違い

スポーツを真剣に取り組んでいれば、誰でもスランプはやってきます。

スランプとは一時的にパフォーマンスが低下したり、自分の持つ力が上手く発揮できなくなることをさし、スランプはするべき努力を続けていれば、そのうち抜け出すことができますが、イップスは違います。

不安や恐怖のよみがえりを繰り返し経験すればするほど、その不安や恐怖感がどんどん大きくなり、最終的には自分で感情のコントロールが効かないものとなってしまいます。

消してしまいたいと思っている記憶ほど、鮮明によみがえってしまうもので、嫌な記憶を忘れたいと思えば思うほど、脳は何度もリピートしてさらに記憶を脳へインプットしてしまいます。

そして、イップスの辛いところは、周りからの理解を得られないというところです。イップスになれば、基本的な競技動作すらできなくなることがあるため、コーチやチームメイトから「馬鹿にしてるのか?」「ふざけているのか?」と言われる。

そう言われた本人は、どんどん追い込まれ「負の無限ループ」に陥ってしまうのです。

合わせて読みたい

イップスの主な症状

・著しい競技能力の低下

・筋肉の硬直

・体の一部が痙攣を起こす

・異常な緊張感

・手足に力が入らない



イップスになりやすい人

・真面目な性格

・責任感が強い

・周りの目が気になる

・人に気を使いすぎる

・喜怒哀楽の感情を表に出さない

イップスはメンタルが弱いからなるのではありません。

イップスになったから、心が乱れてメンタルが弱くなってしまうのです。

イップスに陥るのは責任感の強い人が多いため、そうなった自分を責めることで、さらにメンタルをボロボロにしてしまう。そのため、早い段階で周りが気が付いてあげることが大切です。

イップスの克服法

ヒットを打つ野球選手

競技能力を向上させるためには、辛い練習や地道な努力から逃げないことが必要ですが、イップスに対して「逃げてはいけない」「負けてはいない」などの考えは絶対にNGで、まずはトラウマになってしまった原因と向き合うことが必要です。

そして少しずつ「成功の体験」をして、本来持っていた「自信」を取り戻しましょう。

また、人間の脳の仕組みを利用した克服法も有効です。

人の脳は本当に体験した成功と、イメージした成功の区別や認識ができないため、イメージトレーニングも効果的だと言えます。

イップスは悩めば悩むほど、いい方向へ進んでいくことができません。

少しづつでも行動へ移していくことが大切です。

参照記事:勝利をたぐり寄せる!試合前に行う6つのイメージトレーニング術

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