こんにちは、メンタルトレーナーの葉月です。
学校の部活動で問題視されているひとつに「部活動の過熱化」があげられています。
顧問の勝利主義による過度な練習内容と練習時間、選手に対する「ひいき」「暴言」「体罰問題」など、表面化されていないものも入れるとけっこうな数になるのではないでしょうか。
現在私がメンタルトレーナーとして携わっている中学の部活動でも、過去にそのような問題が起こっていました。
その際は顧問の先生に「このままでは選手の可能性を引き出してあげることができない」「チーム力が伸び悩んでしまう」ということを理解してもらうにかなりの時間を要しました。
カウンセリングを行った生徒の中には「顧問に辞めてもらいたい」と希望する者や「今の状況が辛すぎる。頑張る意味が分からない」と心が折れて今にも辞めてしまいそうな生徒もいました。
子供達の苦しんでいる姿を見ることは私自身も心が痛みますが、もっとそばで支えている親御さんはもっと辛いんだろうな・・・と更に心が痛みました。
今回はそんな親御さんにもぜひ読んでいただきたい、 「部活動顧問を辞めさせることはできるのか?ブラック部活の実態」についてお話したいと思います。
部活の顧問を辞めさることはできるのか?
結論から言ってしまえば、保護者や生徒が顧問を辞めさせたいと思っても、実際には顧問を辞めさせたケースの方が圧倒的に少ないです。
しかしだからといって、顧問による人格否定や暴言・暴力が起こっているのであれば、そのことを見逃してはいけませんし、諦めるのもよくありません。
指導者する側の問題行動に目をつぶっても誰も幸せにはなれませんし、それどころか子供の可能性を潰してしまう恐れがあります。
ここは大人がしっかりと問題点に着目して冷静に対応し、問題を解決へ導くことが大切です。
ではまず・・・
- 顧問の解任はなぜ難しいのか
- 問題が中々改善しない原因はどこにあるのか
- 部活動の問題はどこに相談したいらいいのか
などを考えていきたいと思います。
表面化されない部活動問題の原因
日常的に体罰が行われたり、問題が大きく表面化すれば顧問の解任というケースもあり得ますが、多くの場合は「生徒が耐えるか、または部活を辞めるか」の二択になる場合がほとんどです。
特に顧問によるひいきや人格否定については、「それぞれ生徒のとらえ方の問題」と言われればそれまでですし、指導の過熱化についても、それをよしとしている生徒や親がいる限り改善することは難しいのが現実です。
怪我をしているのに無理をして試合をやり抜いた、怪我をしているのに練習をサボらない、そんな選手が素晴らしいだなんていう大人の安易な考えが、選手である生徒を追い込んでしまうし、指導者を間違った思考へ導いてしまうのです。
生徒が顧問に対する評価は本当に正しいの?
ここまでは部活動顧問の問題についてお話しましたが、次は少し見方を変えた考え方をしてみたいと思います。
さて、生徒達が顧問に不満を抱いたり、顧問に辞めてもらいたいって思うのは本当に顧問の指導が間違っているからでしょうか?
もちろんそこに明らかな体罰や人格否定がある場合は、子供達を指導する資格なんてありませんし、子供達の将来を考えると黙認できることではありません。
ただ、私が客観的に見ていて 「試合に出してくれる顧問=いい顧問」「試合に出してくれない顧問=無能な顧問」としている生徒や保護者の方がいることも事実です。
そして試合に出してもらえないことが、自分自身を否定されている気分になって、やる気を低迷させて、結局辞めてしまったという生徒もたくさん見てきましたし、逆にその不満から打破して活躍してきた生徒もたくさん見てきました。
なので、子供が「今の顧問が嫌だ」「部活を辞めたい」と言ってきたときは、きちんと理由を聞いてあげてほしいと思います。
本人は色々なことが納得いかず不満を蓄積させているのでしょうが、「今現在自分にできることをしっかりする」それが自分自身を納得させるうえでは一番の近道だったりするものです。
顧問の知識不足による不満
部活動に熱心な先生もいれば、その競技に全く携わったことがないのに顧問をさせられている先生もいます。
後者の場合はむしろ小学校からクラブチームでやってきた子供達の方が知識が豊富だったりする場合も・・・。
そのようなケースだと生徒が顧問を馬鹿にしたり、試合に負けたことを全て顧問のせいにする保護者の方までいる始末です。
部活動で問題が起こった時、多くの場合が 「加害者は顧問」「被害者は生徒」だと思われがちですが、そうなるに至った原因は本当に顧問だけの問題なのでしょうか?
学校の「本分」である授業がわかりづらければ、わかりやすくしてくれと主張するのは正当な要求かもしれませんが、指導内容が気に入らない、スキルが気に入らないからと顧問を変えてほしいというのは、正当な要求とは言えないのではないでしょうか。
ブラック部活だった場合は・・・
部活動で問題が起きるのは、「顧問だけの問題ではない」という話も踏まえてお話しましたが、顧問の暴言や体罰問題が現実に起きているのも事実です。
とても残念なことですが、実際に部活動の指導者が原因で自らの命をおとしてしまった生徒も過去にいるわけですから、もしも顧問にそのような疑いがある場合は速やかな対処が必要だといえます。
ただし、保護者の方が顧問へ直接相談しても、マニュアル通りに対応されるだけで、本当に生徒や保護者の意図を理解してくれるかは疑問です。
指導者はどんな場合でも、「自分は間違った指導をしていない」と思っているケースがほとんどですし、仮にも教育者という立場ですから、たとえ方向性を間違えていたとしても、自分の言動は生徒やチームのためなんだと心から思っている場合も少なくありません。
もちろんまずは順序を踏んで顧問へ相談してみることも必要ですが、それでも改善しそうにない場合は、学年主任、教頭先生、校長先生へ伝えたいことを整理したうえで相談することがいい方法だと思います。
可能であれば同じ立場にいる保護者数名でいくと、学校側の対応もさらにしっかりとしてくれるはずです。
その際に注意したい点が、子供と顧問の問題が、保護者と教師のトラブル問題に発展しないように気をつけるということです。
学校へ行く目的は、 苦情を言ってスッキリさせることではなく、環境を改善させるためという事を親は忘れてはいけません。
顧問の問題はどこへ相談すればいいのか
もしも部活動内で顧問による体罰があった場合は決して見逃してはなりません。
この問題を解決するには、まず実際に体罰を指導の一環としている顧問へ「体罰による指導がなぜいけないのか」という定義をきちんと理解してもらう必要があります。
ところが、学生時代に自分自身もそのように指導されてきた顧問や、長年体罰を指導の一環としてきたベテラン指導者を納得させるには、保護者の方や生徒の力だけで改善するのは難しいかもしれません。
ここは 学校全体で生徒を守る体制と環境を整えることが望ましいかと思います。
もちろんそれでも学校側の対応に不満があれば、「教育委員会」へ相談という方法もあります。
※ただし私立中学校の人事権は各学校にあり、教育委員会は管轄外ですので相談しても受け付けてくれません。各都道府県の府庁や県庁にある 「文教課」と呼ばれる部署でしたら、何らかの方法で対応してくれるでしょう。
まとめ
今回は 「部活動顧問を辞めさせることはできるのか?ブラック部活の実態」についてお伝えしましたがいかがでしたでしょうか。
これは学校内で起きている問題のほんの一部にすぎません。
私たち大人が子供のために考えるべきことはまだまだあるし、問題として扱われていないだけで、今現在も悩んでいる子供はいるのです。
その中で私たち大人が一番大切な「するべきこと」とは、子供の話によく耳を傾けることです。
子供の気持ちよりも「決めつけ」や「大人の都合」が先行してしまえば、決していい方向には向かわないでしょう。