メンタルトレーナーの葉月です。
今回のテーマは「コーチの暴力を根絶する方法」についてです。
当サイトでも今まで何度か「コーチの暴言・暴力問題」について取り上げてきましたが、今回はミニバス(小学生バスケットボールチーム)のアシスタントコーチの方から「自分が所属するチームのヘッドコーチの暴言・暴力を止めさせたいけれど、どのようにアプローチしたらいいでしょか」という相談を受けました。
今回はこの相談をもとに「コーチの暴力を根絶する方法」について考えていきたいと思います。
コーチの暴力を根絶する方法を教えてくれませんか?
今回のご相談はこのような内容でした。
初めまして、突然のメール失礼いたします。私はミニバスでアシスタントコーチをしております、田中と申します。
私はミニバスから大学までバスケットボールをして、自分が学んだ様々なことを子供達にも伝えていきたいと考え、今いるチームのヘッドコーチとのご縁もあって、現在は下級生(小1〜小4年生)へ基礎を教えております。
私の話を少しさせていただきますが、私が学生時代に所属していたミニバスと中バスは、全国大会の常連校で、コーチからの暴言・暴力が当たり前に行われていました。
そして学生時代の頃の自分は嫌々ながらもコーチの言うことに従っていました。(反抗的な態度をすれば試合には出られないし、何より練習を見てもらえなくなる環境下でした。)
しかし、高校時代にお世話になったコーチのお陰で、私は初めてバスケットボールをする楽しさを知り、バスケットボール人生の中で1番有意義で1番成長できた3年間になりました。
私は子供達に、この3年間に自分が学んだことを伝えたいのですが、私の所属するチームのヘッドコーチは根っからの昭和コーチで、子供に罵声を浴びさせるのは当たり前で、時に手を挙げることもあります。
私はなんとかそのような指導を止めてほしくて、自分の経験談を元にお話をするのですが、とにかく私の言うことに否定的で「俺のやり方が気に入らないなら、よそのチームに移れ!」と言われる始末です。
連盟へ報告する義務があることについては重々承知ですが、技術指導に関してはとても素晴らしい方なので、子供達への指導方法についてを理解してもらえれば、チームとしてもっとよりより環境が作れると思うんです。
そこで葉月さんへご相談なんですが、葉月さんがメンタルトレーナーとして携わったチームに暴言や暴力を使うような指導者の方はいませんでしたか?
いたとしたら、どのような形で子供達のメンタルトレーニングにあたられたのでしょうか?
今後、子供達を指導するにあたって参考にさせていただきたいと思いますので、ぜひお聞かせくださいませんか?
また、うちのヘッドコーチに対して何か良いアプローチ方法あればアドバイスいただけないでしょうか?
「暴力はダメ!」の持論は通用しない
現在、JBAでも指導者による「暴言・暴力」の根絶に向けた取り組みが強化されてきましたが、実際のところは中々難しい部分があることも否定できません。
一見、暴力がなくなったように思えるチームでも、それが「暴言」に変わっただけと言う声も少なくありません。
実際に私がメンタルトレーナーとして携わったチームにも、罵声を選手へ浴びせたり、手を挙げるコーチがいらっしゃいました。
ただ、そのようなコーチに「暴力は子供の成長に悪影響です!」「暴力はスポーツ指導ではありません」と持論を並べても、残念ながらあまり効果がみられませんし、「指導者でもないのに口を出すな」と敵対心を持たれてしまうことすらあります。
そうなってしまう理由がとてもシンプルです。
本人達はそれが指導の一環として成り立っており、その指導方法を長い間信じてやってきたのですから、こちらがいくら正しい持論を並べても受け入れてくれないのが現実です。
その現実と向き合うことで、コーチが選手に罵声を浴びせたり、コーチが選手へ手を挙げることを止めることができた経験がありますので、今回はその時のお話をさせていただこうと思います。
否定は否定を呼び、肯定は肯定を生む
自分の思いを伝えたい時にしがちなのが、自分の思いを一方的に伝えてしまうことです。
それでは100%の言葉で伝えたように思えても、実はほとんど伝わっていないことが多くあります。
そうならないために大切なことは、まず相手の話を聞いて、相手の気持ちをしっかり受け止めることです。
相手が1番大切にしているものを理解し、その相手が大切にしているものを自分も大切にしてあげる。
子供達へ罵声を浴びせたり、手を挙げていたコーチも、大切にしていたものは私達と同じ「子供達の成長」でした。
私はあえて罵声や暴力を否定せず、そのコーチがしてる「良い指導」に意識を向け、そこをもっとより良いものにするカウンセリングを行うようにしました。
完全に罵声がなくなるまでには8ヶ月という時間がかかりましたが、子供の話を最後まで聞く姿勢が持てていなかったコーチが「聞く力」を身につけ、子供達との信頼関係を築き上げることができました。
人は自分の考えを否定されると、自分の身を守るために攻撃的になってしまうことがあります。
なので、こちらの思いを知ってもらいたい時は、まず「相手の思い」を理解することが大切ではないかと考えます。
子供の才能を伸ばすミニバスコーチの指導方法とは?
私がメンタルトレーナーの勉強を始め、実際に現場でカウンセリングを行うようになってからは、随分考え方が変わりましたし、色々な指導者の方や子供達と接することでたくさんのことを学ぶことができましした。
いくらメンタルトレーニングの知識を詰め込んでも、実際の現場で活用できなければ意味がありませんし、恥ずかしながら最初の頃は自分の知識を押し付けるだけで、質の良いトレーニングができていたとは言えなかったように思えます。
大切なことは、相手は人で、心を持つがゆえに心の問題が体と技に様々影響を与えてしまうということです。
私が今までお会いした指導者の方で「この指導方法は真似したい」「このような振る舞いが子供の才能を伸ばす」と勉強になった部分をご紹介したい記事がございますので、そちらが参考になればと思います。