スポーツ指導で暴言・暴力がなくならない理由とメンタル強化について

コーチから指導を受ける野球少年

子供達がスポーツ指導を受けるうえで「水を飲んではならない」「ミスをすれば殴られる」そんな状態をよしとする時代はもう終わりました。

今では、心と体を鍛える事に対する認識の変化から、子供達のメンタルを重要視したトレーニングがスポーツ少年団でも学校の部活動でも活用されるようになっています。

それでも、暴言や暴力を使ったスポーツ指導が子供達をコントロールするには手っ取り早いため、一部の指導者の方ではありますが「体罰も愛情のひとつ」「期待をしているから」など、指導者にとって都合がいい言葉を並べ、体罰問題を起こす方がいまだにいらっしゃいます。

今回は私が実際にスポーツ指導の現場を見て感じた「スポーツ指導で暴言・暴力がなくならない理由とメンタル強化」についてお話したいと思います。

暴言や暴力が消えない理由

暴力や暴言を使う指導者の方に多くみられるのが「完璧勝利主義者」です。

勝ちにこだわりすぎて、思うような結果が出ないことに苛立ったり、指示した通りに動いてくれない選手に腹を立てるなど、子供達には「心を乱されるな」と言いながら、指導者である監督やコーチが心を乱して体罰問題を起こしてしまうパターンです。

指導するコーチも人間ですから、感情が乱れることはあって当然のことですし、熱が入りすぎて平常心を保てなくなることもあるでしょう。しかし怒りを子供にぶつけるようでは、指導をしているとは言えないのではないでしょうか。




桑田真澄さんが語る指導理論

 野球で成功した人は、「体罰を受けたからこそ、成長できて、今の自分がある」と思う傾向が強い。体罰批判は、自分の野球人生を否定することになるからだ。「嫌だった」と言いながらも「必要だった」と答える人が多い。だが、僕の経験上、体罰は技術の向上に結びつかない。失敗を恐れ、選手の主体性を奪うだけだ。

 指示され、怒鳴られ、殴られた高校球児が将来、どんな人生を送るか。自主的に考え、行動する習慣を身につけるのは難しいだろう。それは野球人のセカンドキャリアの難しさにもつながっている。指導者の皆さんには、グラウンドの外でも自分で考え、行動できる選手を育ててほしい。そのためにも、言葉で伝える、真の指導力をつけてほしいと願う。

参照元:桑田真澄氏、高校野球の体罰問題に提言「昔は『愛のムチ』、現在は『犯罪』」http://www.hochi.co.jp/baseball/hs/20170205-OHT1T50301.html

メンタルトレーニングの認識のズレ

あえて選手に辛い課題を与え、心も体も鍛えるという指導者の方がいます。

そして、その中には「体罰」が含まれているケースもあります。

しかし、メンタルは鍛えようとして鍛えられるものではありません。

メンタルはあくまでも整えるものであって、鍛えるものではないのです。

辛い練習に耐えられるのは、メンタルが鍛えられているからでなく、そのうらで辛さを上回る手応えや達成感、自信があるから頑張れるのです。

それを言葉の暴力、間接的暴力、直接的暴力を使って選手から削り取ってしまってはいけません。

その認識のずれが体罰問題を起こしていることを指導する方は理解する必要があるのではないでしょうか。

暴力からは何も身につかない

厳しい言葉や威圧的な態度で注意をすれば、選手が自分の言うことを聞き、その通りに動くようになるため、自分の指導方法は正解で、子供達を選手としてきちんと育てているように思えるかもしれません。

しかし、普段から厳しく指導し、自分の意見も発信できない環境で、無理やりできるようになったことには大きな落とし穴があります。

それは「時が経てば頭からなくなる」ということです。なぜなら、厳しい言葉でいくら技術を身につけさせても、それは子供が自主的に考え取り組んで得た技術ではないからです。

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メンタル安定に大きく影響する指導者の言葉かけ

選手のメンタルを強化・安定させるのに絶対的に欠かせないものは「自発性」「自主性」「自己肯定感」です。そのためには、選手が指導内容に納得したうえで、プレーをすることが必要です。

「あれをしろ」「これはするな」と伝えるだけでなく、その理由も伝えてあげることです。決して暴力や暴言を使った脅しの指導をしてはいけません。

もちろん勝つことがチームの最終目標で、子供達もそのために日々の練習へ真剣に取り組んでいるのだろうし、その中で辛いことや苦しいことがあるのは当たり前だと思います。

楽しいだけでは勝てないのがスポーツ。しかし、辛いだけでも勝てないのがスポーツです。




スポーツの基本もコミュニケーション

人と人が信頼関係を築くうえで、欠かせないものは「コミュニケーション」です。

この能力が低い人間は、子供であれ大人であれ、少なからず損をしますし、自分で気づいていないだけで失ってきたものも多くあると思います。

これは子供同士、大人同士に限ったことではありません。

「子供と親」「選手と指導者」も同じことなのです。選手と指導者というものは、決して対等ではありません。

特に選手が子供であれば、指導者の発言は絶対だし、コーチの言っていることに疑問を抱いたとしても、子供なりに消化しようとします。

だからこそ、コミュニケーションが大切なのです。

優秀な指導者の方は、選手である子供達と多くコミュニケーションをはかろうと努力しています。

その会話のなかで、子供の「自発性」「自主性」「自己肯定感」を育てることで、信頼関係を築くだけでなく、内発的にやる気を出させているのです。

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まとめ

今回は「スポーツ指導で暴言・暴力がなくならない理由とメンタル強化」についてお伝えしましたがいかがでしたでしょうか。

手っ取り早く子供達へ理解してもらうために、暴言や暴力を使うことは決して正しい指導方法とは言えません。

自分が教えられてきたこと、それが正しい「教え」とは限らないのです。

子供達のスポーツ活動へ関わる大人達の言動は、子供達の「今」と「将来」に大きな影響を与えるため、それぞれが「責任」を持って接する必要があるのです。

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