【必見】試合前の緊張を和らげてパフォーマンスを上げる5つの法則
子供が試合で力を発揮するには
これまでの説明で「適度な緊張が子供の集中力やパフォーマンスを向上させてくれる」ということがお分かりいただけたかと思いますが、その緊張感に耐えきれなくなれば、体はもっとアドレナリンを分泌して、その結果、自律神経のコントロール機能がバランスを崩して「手に汗を握る」「呼吸が浅くなる」「不安や恐怖心からメンタルが乱れる」「普段しないような判断ミスをする」などでパフォーマンスに悪い影響を与えてしまうことがあります。
そして頭では「緊張をするメカニズム」を理解しても、やはり「緊張に強い選手」と「緊張に弱い選手」は存在します。
緊張に強い子というのは、経験値が高いことはもちろんのこと、今までの実績や成功が自信となっているため、緊張やプレッシャーに対しても動じず対処できる傾向にあります。
しかし、今までに大きな失敗をしてそれがトラウマになっている子や、指導者や親から常にプレシャーをかけられている子は「不安」や「恐怖心」が強いため、まずは心の「安心」と「安定」が第一優先になります。
そのような選手には「もし失敗しても、そこから学べるものがあればそれでいい。挑戦することに意義があるんだから」と失敗した時の着地点を準備してあげたり、大人達が結果を求めて子供の気持ちを置き去りにしないようにすることが大切です。
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子供が緊張と上手に向き合う5つの方法
では次に、子供が実際に「緊張と上手に向き合う方法」についてお話ししたいと思います。
ただし、これらの方法を全て完璧に実践する必要はありません。
ジュニア世代の選手がメンタルトレーニングを行ううえで気をつけたいことは「子供の歩幅に合わせて行う」ということです。
親が「あれもした方がいい」「これもした方がいい」と一度に多くのことを求めてしまえば、そのことが子供にとってプレッシャーになれば本末転倒です。
まずは子供の精神的負荷が軽くなる程度のことからスタートしてみましょう。
緊張した心の整え方
人が緊張するメカニズムから分かるように、緊張とは 「人間の本能的な反応」ということになります。
その本能に逆らっても、いい結果につながることはなく、マイナスに作用する危険が高まります。
そんな時は「緊張をしてはいけない」と自分の本能に逆らうよりも、緊張している自分を一度受け止めたうえで、「リラックスしよう」と心を整えることが大切です。
「緊張をしてはいけない」という考えでは、緊張している自分の姿が脳に残ってしまいますし、「〇〇をしてはいけない」といった否定的な思考は、マイナスにしか作用しません。
メンタルを整えるうえで大切なことは、「リラックスしよう」と肯定的な考え方を持つこと、つまりリラックスをして、メンタルを整えている自分を想像できることが大切なのです。
イメージトレーニングで不安を上書き
不安や恐怖心を抱いてしまったら、それをいくら脳から消し去ろうとしても、そう簡単には消えてくれません。
むしろ、考えたくないと思えば思うほど、頭の中で「こうなってほしくない」「あの時のようなミスをしてしまったら」と考えてしまうものです。
このように人がイメージしたことは、無意識のうちに行動へ現れてしまうため、不安が現実になってしまうことも少なくありません。
試合前には、脳内で「こうなってほしい」という試合をイメージして、不安をワクワク感で上書き保存をし、脳内のイメージを良いものにしておきましょう。
また、常に自分の思うような試合展開になるようなことはまずありません。
そのため接戦や苦戦をイメージして心の準備をしておくことも必要になります。不利な状況になる可能性があることも想定しておけば、そのような状態になった時に「緊張」「不安」「恐怖心」を促進させることがありません。
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試合前はいつもと同じリズムで
試合前の過ごし方も、本番で力を発揮するためには、大切な準備のひとつです。
仲間とダラダラ過ごして緊張感が全くないのも問題ですし、試合前だからと気合いを入れすぎることも逆効果になる場合があります。
パフォーマンス低下の原因となった「特別行動」
これは、私がメンタルトレーナーとして1ヶ月間だけ携わった、中学男子バスケットボール部のお話です。
私がこちらのコーチからメンタル指導をお願いされたのは、公式戦になると選手が妙に緊張してしまい、いつも通りのパフォーマンスが発揮できず、結果がついてこないという理由からでした。
平日は学校が終わってから練習を行い、週末は練習試合やカップ戦へ行き練習の成果を確かめる。どこのチームもこの繰り返しの中で、心身共に鍛えられ強くなっていくのだと思います。
もちろん今回携わったこちらのチームもそうでした。
顧問やコーチが威圧的な態度で指導するわけでもなく、選手達の精神面や体力面で目立った問題もありませんでしたが、1点だけ気になった点がありました。
このチームは大切な試合、つまり「公式戦の時だけの特別行動」が多いという点でした。
公式戦前日にはチームでミーティングをしてそれぞれに目標を掲げさせます。そして試合直前はエンジンを組んで気合いを入れさせますし、ほとんどの保護者がチームTシャツを着て選手を激励します。
私は、選手の動きを不調にする原因のひとつはこの「特別行動」にあるのではないかと考えました。
選手に目標を掲げさせることも、チームが一丸となるためにエンジンを組む事はとてもいいことです。
「では何がいけないのか?」ということですが、それは練習試合やカップ戦ではしないことを、大切な試合だからと「特別なことをする」という点に問題があります。
どうしてわざわざ普段しないことをして「絶対に負けられない試合」だと自分達を追い込む必要があるのでしょうか。
もちろん「気合いを入れる」という意味で行っているのでしょうが、特別なことをしなくても「公式戦」であるという事実だけで選手達は十分に気合いが入っているはずです。
それにチームでのミーティングは常に行って目標を曇らせないようにすることが大切ですし、公式戦の時にエンジンを組みたいのであれば、練習試合でもカップ戦でも組むべきだし、もし組まないのならいっそ公式戦でも組まないほうがいいでしょう。
保護者の方の応援は子供達にとって大きな力となりますが、いつもと同じように接してあげることが大切です。
こちらのケースだと、わざわざ自分達で「緊張の種」や「プレッシャーの種」をまいているようなものなのです。
大切な試合、特別な試合だということに間違いはありませんが、 いつもと同じリズムでいつもと同じ精神で試合に挑むことが、本来の持つ力を発揮するにベストな状態だと言えます。
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緊張は笑顔と深呼吸で乗り切る
何をどう考えても気持ちが落ち着かない時は、トイレに行って自分の顔を鏡で見てみましょう。きっと強張っているはずです。
そんな時は、まずゆっくりと深呼吸をしてみます。そして鏡に映っている自分に向かって最高の笑顔で「大丈夫だよ。やるべきことをするだけ!」と話しかけてください。
そのうえで冷静に考えてみましょう。
試合中にライオンが襲ってくることなんてあるでしょうか。緊張の反応とは、生命の危険がここにあるかのように、自分の脳が作り出したものにすぎません。
心拍数は呼吸によって変化するため、呼吸を深くし、ゆっくり吐くことで心拍数は下がります。
心を整えるうえで深呼吸をすることは、メンタルを整えるのに大きな効果が期待できるとされています。
極度の緊張を感じた時は、ゆっくりと深呼吸をして「ここにライオンはいない」と自分の脳に教えてあげましょう。
ミスがある前提で試合に挑む
何もかもが自分の希望通りに試合が運ばれるとは限りません。むしろ「相手チームの戦略」「自チームのミスや失点」など想定外の出来事の方が多いのではないでしょうか。
スポーツをするうえでポジティブであることはとても大切ですが、自分達にとってよくないことが起こることも前提で試合に挑まなければ、実際にトラブルが起こった時に、慌てふためいて平常心を保つことができなくなってしまうでしょう。
試合で力を発揮するためには、ポジティブでいるべきだけど「ネガティブな面も視野に入れて戦う」ということは相反することのように感じるかもしれませんが
- 「ポジティブになること」
- 「ネガティブになること」
- 「どちらも想定したうえでポジティブでいること」
この中でどの方法が様々なことに対処できるかは説明するまでもないと思います。
それは「ミスをしてもいいんだ!」という甘え考えを持つことではなく、 ミスが起こっても臨機応変に対応できる心の準備を整えておくということです。
その準備がきちんとできていれば、ピンチになった時も心が折れることなく挑戦し続けることができるのでないでしょうか。
まとめ
今回は「試合前の緊張を和らげる5つの方法」についてお伝えしましたがいかがでしたでしょうか。
多くの子供達は「緊張」に対して良くないイメージを持っていて、「緊張をすることはいけないこと」だと思い込んでいますが、緊張のメカニズムを理解して、心を整える方法を身につけることができれば、スポーツを続けていくうえでも、社会にでてからも自分の強みとなってくれるはずです。
極度の緊張を感じたときは、まず深呼吸。そして肯定的な思考で試合へ挑めるよう心を整えましょう。