部活・スポーツにおける燃え尽き症候群の特徴と快復方法

2015年12月2日メンタル強化

快復に向けて親ができること

中学部活動

もしも子供が「燃え尽き症候群になってしまったのでは?」と感じた時は、とにかく心と体のケアが大切です。

子供達はお父さんやお母さんから期待されていることに喜びを感じる反面、自分自身を見失ってしまった時はそのことがプレッシャーとなって精神的な負担になってしまうことがあります。

では早速、どのように対応することが早期快復につなげられるかをこれからお伝えしていこうと思います。

心身の疲労回復が第一優先

子供が燃え尽きてしまった時、お父さんやお母さんがしてあげられることは、 心と体の調子を整えるための手助けです。

やる気が低下した子供を目の前に「このままじゃダメよ、もっと頑張らなきゃ!」と無理に前へ進ませようとするのではなく、まずはゆっくり休ませて心身の疲労回復が第一優先です。

お父さんやお母さんが子供の活躍を願うばかりに「大丈夫!あなたならまだ頑張れる!」などと声を掛けるのは逆効果で、言われた本人はもっと苦しむことになります。

そもそも燃え尽き症候群(バーンアウト)になるということは、今まで十分すぎるほど頑張ってきたし、無理をしていたということなのです。

そんな時に、一番身近なお父さんやお母さんから「もっと頑張って」と声を掛けられれば、責任感の強すぎる子供はさらに自分を責めてしまいます。

燃え尽きてしまった子供を見て、親として「頑張ってほしい」と思ってしまうお気持ちはよく分かりますが、子供のことを本当に考えてあげたら、 心と体のケアの手助けをしてあげることが第一優先なのです。

子供には肯定的な言葉かけを

子供が燃え尽き症候群になった時、「こんな自分は好きじゃない」「こんな自分ではダメだ」と思考が否定的になってしまい、気持ちが弱く不安定なものになってしまいます。

そのような状態の時に親からも否定的な言葉を掛けられれば、子供の「不安」や「焦り」を煽ってしまい快復を遠ざけてしまうどころか、状態をさらに悪化させてしまうことがあります。

「今のままではどんどんダメになるわよ」「今の状態では誰も頑張っているなんて認めてくれないわよ」と今を否定するような言葉かけはせず、今まで頑張ってきた子供を受け入れ、また前を向いて歩けるようになるまで待ってあげることも大切です。

安心して過ごせる家庭環境を

燃え尽き症候群の原因は「メンタルの消耗」にあります。

「燃え尽き症候群になりやすい子の特徴」でもお伝えしたように、完璧主義者や責任感の強すぎる子は、周りや自分が思っている以上に精神的な消耗があります。

周りの大人が過度な期待や成果の要求をしてしまえば、責任感の強い子はそれに応えようとさらに頑張るでしょう。

心と体のバランスが上手くとれている時はそれで問題ないように思えますが、何らかの失敗や挫折がきっかけとなって心と体のバランスが崩れてしまえば、燃え尽き症候群を引き起こす原因となってしまうことがあります。

自己採点のハードルを上げれば、子供は自分で自分を苦しめてしまいます。

このようなメンタルの消耗を防ぐためには、目標を高く完璧なものにするのではなく、努力した成果を自分自身で認められる小さな目標設定も大切です。

そのためにはお父さんやお母さんも、結果よりも努力している過程を評価してあげられるように、また 「親の前では未熟さを見せられる」そんな環境をつくってあげるようにしてください。

バランスのとれた食生活を

体への負担は大きなストレスの元です。

バランスよく食べることで必要な栄養エネルギーを補給し、活力を与えてくれます。

エネルギーが十分にあれば「心にゆとり」が生まれるため、燃え尽き症候群の早期快復につながると考えられますし、特に成長期の女子選手はダイエットや栄養不足が原因で女性ホルモンの分泌が乱れ、骨の発育に大きな影響を及ぼしてしまうこともあります。

毎日の栄養管理はとても大変なことですが、これは一緒に住んでいるお母さんやお父さんでないとできないことです。

朝・昼・夕で、しっかりとバランスのよい食事を摂らせてあげましょう。

指導者が選手のために考えること

野球の得点版

チーム内で選手が燃え尽き症候群になった時、スポーツ指導の中で「きっかけ」や「原因」がなかったかの確認をする必要があります。

もしかしたらその選手だけでなく、心身共にストレスや疲労を感じて葛藤している選手が他にもいるかもしれません。

選手を追い込んでいないか

スポーツ少年団や学校の部活動では「とにかく練習!練習量を増やせば必ず結果につながる」という考え方で指導を行なっているチームも少なくありません。

私が学生時代に部活をしていた頃も「1日休めばそれを取り戻すにのに人の3倍頑張らなければならない!」と顧問から言われ、怪我をしても体調を崩しても「休む=サボり」そして「休む=メンバーから除外される」という考えのもとで指導を受けてきました。

それは今でも変わることなく、常にストイックであることがスポーツ選手としての美徳として扱われることがよくあります。

しかしストイックな部分ばかりを選手に求めてしまえば、選手は常に休むことなくアクセルを全開にして走り続けなくてはいけなくなり、さらにそれが続くと何をしても達成感が得られなかったり、自分は最終的にどこへ向かって頑張っているのかが分からなくなってしまうことがあります。

頑張りに結果がついてきているうちはそれでも上手くいくのですが、それを選手に求めすぎると体に心がついていかなくなり、燃え尽き症候群を誘発してしまうというものです。

キャプテンに対する心のケア

キャプテンや中心的ポジションにある選手は、他の選手に比べてプレッシャーを感じやすい立場にあります。

チーム内で問題が起きた場合には、キャプテンとしての力量が問われますし、問題を起こした当事者やその他のチームメイトにも気配りしたり、同時に「キャプテンがなんとかしてくれるだろう」と周りからも任されることが多いため、他の選手に比べて精神的な疲労を抱えやすい状態にあります。

指導者は「責任感がある=キャプテンに向いている」「練習熱心=キャプテンに向いている」という固定観念からそのような選手をチームのキャプテンに抜擢しがちですが、完璧主義で人に頼ろうとしない選手は「自分はキャプテンだから」と1人で問題を抱えて燃え尽きてしまうケースがあります。

しかし子供達が成長していく中で、人に頼ったり相談することもこれから必要となるスキルだと思います。

そのような傾向が見えた時は、副キャプテンと協力しあえる環境や、キャプテンだけでなくその他の選手にも問いかける習慣をつけることが必要かもしれません。

選手が心がける燃え尽き症候群の快復法

サッカーの試合

休むことを恐るな

まず自分の心や体に異変を感じた時は、その事実に目を背けないことが大切です。

それは怪我をした時も同じことが言えます。心と体に異変が起きているということは、自分の心と体が悲鳴をあげているということです。

それを無視して体を動かし続ければ、長期による心身ストレスから様々な悪影響を及ぼしてしまうことがあります。

それは燃え尽き症候群に限らず「イップス」「オーバートレーニング症候群」などを起こす危険もあり、最終的には部活だけでなく、学校生活そのものに支障をきたすことも珍しくありません。

心と体に感じる痛みや苦しみは自分に対するSOSで「ちょっと休ませてくれ〜」というサインだと思いましょう。

十分な睡眠をとる

寝ている子供

燃え尽き症候群になるということは、疲労がきちんと回復できていない可能性があります。

睡眠にはストレスを解消するという大切な役割があり、睡眠が十分に取れていなければ些細なことで恐怖や不安を抱きやすくなってしまうということがあります。

また一定時間の睡眠をとっていても、睡眠の質が良くなければ十分に疲れが取れず、ストレスが十分に解消できていない場合があります。

早期快復には「休息」は欠かせません。

スポーツをするうえで「いかに全力で頑張れるか」も大切ですが、それと同時に「いかに疲労を回復できているか」も重要なのです。

入浴で心と体の疲労を回復

お湯が入った浴槽とアヒル

水中で体が受ける体重は普段の約1/10になることから、入浴は浮力によるリラックス効果が期待できるとされています。

緊張状態が続けば脳や体は疲労を感じてしまいますが、正しい入浴をすることで心と体の疲れを取り除くことができ、燃え尽き症候群の予防や対処法につながります。

またスポーツを頑張る子供達にとって、筋肉疲労の回復にも効果が期待できますので、湯船には毎日入る習慣をつけましょう。

まとめ

今回は 「頑張りすぎは逆効果!部活の燃え尽き症候群から快復する方法とは」についてお伝えしましたがいかがでしたでしょうか。

燃え尽き症候群は完璧主義な子供や責任感の強い子供が「挫折」や「失敗」をきっかけに陥ったりします。

そこには精神的疲労と肉体的疲労が大きく影響するため、日頃から疲労を蓄積させないことも大切です。

ただしここで注意していただきたいのは、「何が何でもしっかり対処法を実行しなければ」「ここでしっかり予防法を実行しなければ」ときっちりし過ぎる必要はないということです。

あくまでも自然に日常生活の中に取り入れる程度にしなければ、親がこのことに関して口うるさく言ってしまえば逆効果になることもあります。

子供の歩幅に合わせて無理のないことからスタートさせてみてください。

2015年12月2日メンタル強化

Posted by 葉月 愛