指導者の言葉かけが子供の将来を左右する|コーチングの基本

選手に声をかけるコーチ

クラブチームや学校の部活動など、子供達がスポーツに取り組む環境は昔よりも増え、嬉しいことに、世界で活躍しているアスリート選手も多くみられるようになりました。

子供達が現在しているスポーツと将来的にはどうのように関わっていくのか、いつまで今のスポーツを続けるのか、それは選手である子ども自身の問題だけではありません。

特にジュニア世代に関わってきた指導者の言動は子供達に大きな影響を与えます。

そこで今回は「コーチングの基本と指導者の言葉かけ」について考えていきたいと思います。

スポーツ指導とメンタルトレーニング

「メンタルトレーニング」とは、もともとアメリカで研究され、日本へ導入されたのは1980年代と言われています。テレビなどのメディアでも多く取り上げられていますが、今ではあらゆるスポーツの現場で「メンタル面」を意識したトレーニングが行われるようなりました。

ところが今現在でも、日本のスポーツ少年団の現場で指導者の方は、メンタルトレーニングの重要性やコーチングの基本を理解していても、指導者である自分が何をしたらいいのかが、よく分かっていないケースも多いようです。

「メンタルが弱いから負けるんだ」

「もっと気持ちを強く持て」

「だから、お前はダメなんだ」

スポーツ少年団の現場では、このような責める言葉かけを耳にします。

そして萎縮してしまった子供達も同じ数だけ見ます。

子供達の脳はこのような言葉を言われたからとメンタルを強くできるほど単純ではないのです。

指導者が選手である子供達だけに悪い部分をなすりつけてしまえば、知らず知らずのうちに、子供達の心の底には不平不満がたまっていきます。

その不平不満が心の乱れを招き、その結果メンタルを弱くしてしまうのです。




スパルタの由来

「今の子供は根性がない!私はスパルタ教育主義です!」と断言する指導者がいますが、みなさんは「スパルタ」という語源がどこから来たのかご存知ですか?

まず、スパルタとは古代ギリシアの都市国家のことをいいます。

スパルタでは、7歳になると厳しい軍事訓練を課せられ、その過程で体に障害を生じた子供は殺害していき、残ったものだけを市民として育てたそうです。

そこでの規律は「命令服従すること」「試験に耐え、闘ったら必ず勝つこと」などで、頭は丸刈りにされ、上官による体罰もあったと言われています。

このような厳しい訓練から「スパルタ教育」と呼ぶようになったようです。

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メンタルを削る指導者の言葉かけ

野球の試合をする少年

○○はするな!」
○○をしろ」
「違う!何度言えば言われた通りに動けるんだ!?」

そんな怒鳴り声の中、ミスをすればさらに怒鳴られ、メンバーチェンジと言う罰を与えられる。

こうした指導者のもとで成り立っているチームに共通していることは「選手が指導者のロボットになっている」ということです。

自分の意見を言えないような環境では、チームの雰囲気そのものが悪くなり、選手のメンタルを強くすることは難しいでしょう。




中学時代の中田英寿の話

当時、甲府北中のコーチをしていた皆川新一は、試合に負けた生徒たちに罰走として50本のダッシュを命じた。

僕自身中学時代は野球部だったが、何か不祥事があったり試合に負けたりしたときに「ダッシュ50本」というのはよく経験したものである。

皆川は1960年生まれ、僕は1961年生まれなので、おそらく皆川も自分が体験したことを子供たちに課していたのだろう。無論僕らの世代には、指導者のそのような命令に反論するなどありえないことだった。

子供たちは不承不承ながら当然のことのように「罰」を受けたのですが、ヒデだけはベンチの脇に立って走ろうとしないのです。

怪訝に思った私は、「どうした。なぜ走らんのだ!」と語気を荒げたのです。ヒデの答えはこうでした。

「走る理由がわからない。俺たちだけが、走らなければならないのは納得できない。皆川さんも一緒に走ってくれ。だったら俺も走る」

論理的に考えれば、誠に中田の言うとおりであろう。試合に負けたことについては、選手にも責任があるが、指導者にも大きな責任があるからである。

中田にとって幸運だったのは、皆川が凡百の指導者と異なり、中田の話の論理性を認めて自分も共に罰走に参加するような人間だったことである。

実際に自分で走ってみたら20本でダウンし、そこで「罰」は終了にせざるをえなかったという。

このとき皆川は、自分の指導者としての理念や知識、スキルのなさを痛感し、のちにドイツに渡って3年間サッカーの指導法を学ぶことになる。

引用元:海外サッカー日本人選手速報 WORLD SAMURAI

こうして考えると、指導者の影響とは選手にとってとても大きなもので、スポーツにおいても、社会においても、どんな立場の人間でも常に謙虚であることがどれほど大切かという事がよくわかります。

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指導者の言葉かけが選手のメンタルを左右する

子供達がスポーツをするうえで指導者の言葉かけは、技術の向上だけでなく、メンタルの強化や安定につながることは、すでにご理解いただけたかと思います。

選手が戦っていくうえで技術の向上はもちろん大切ですが、それと同じくらい大切なことが平常心を保てるメンタルの強さを持つということです。

選手が自分の思った動きをしてくれない時は、感情的に声を荒げるのではなく、なぜそうしろと言っているのか、理由をきちんと説明してあげる方が効率的です。

ただ「〇〇はするな」「〇〇をしろ」と言葉をかけるだけでは、選手は得るものよりも、失うもののほうが多いかもしれません。

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まとめ

今回は「指導者の言葉かけが子供の将来を左右する・コーチングの基本」についてお話しましたが、いかがでしたでしょうか。

子供達が成長をしていく中で、周りに存在する大人たちの影響は、良くも悪くも大きなものとなります。

良かれと思ってかけた言葉の中にも、子供にとっては逆効果になっているというケースも少なくありません。

周りにいる大人の役割・コーチングの基本とは、子供の「自主性」「自発性」「自己肯定感」を摘むことなく、育ててあげることです。

そうすれば、能力の差はあっても、練習した分だけ、指導した分だけ子供達は素直に吸収していくことができるでしょう。

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